20代前半の選手が活躍する中、ベテランとして君臨しており、成松のボクシングは、長いキャリアを活かした安定感のあるボクシングだ。加えて、相手によって戦い方を変えられ、自分のペースに持ち込む能力が高い。 

 成松が所属している自衛隊体育学校でコーチを務め、ロンドン五輪代表の須佐勝明氏は、「インテリジェンスのあるボクサーで全体のバランスもよい。ポイントの取り方もうまく、印象のよいパンチを打つ」と実力を高く評価しているほどだ。実際、国内では負けなしで、もっとも安定感がある王者といえるだろう。

 今回の東京五輪では、判定の透明性を高めるため5人のジャッジの採点をラウンドごとに公開し、優勢の選手に10点をつけ、相手に9点以下をつける。これについても須佐氏は「審判への見せ方上手い。要所要所でしっかり抑えて、10-9の採点で10をつけてもらえるような安定感のある戦い方をしている」と話していた。
 
 成松に限らず、代表選考に残った選手は、男女ともにレベルが高い。強化合宿などを通じて、選手たちにはこれまで以上にレベルアップすることだろう。

 東京五輪は自国開催ということもあり、当然だが、選手たちの士気は高い。ボクシング連盟やコーチ陣も、選手たちをサポートするための取り組みを積極的に取り入れている。一昨年前から特別コーチとしてウラジミール・シン氏(ウズベキスタン)を招聘した。ウズベキスタンは、リオ五輪で金メダルを含む7つのメダルを獲得し、国別対抗でも1位の強豪国だ。 

 日本ボクシング連盟副会長の菊池浩吉氏は、トップアマのコーチを呼んだことによる 変化について「影響力がものすごい。技術面や気持ちの面で全体的に向上した」と話している。 
ライト級1回戦でサウジアラビア選手(左)に判定勝ちした成松大介=2019年9月、エカテリンブルク(共同)
ライト級1回戦でサウジアラビア選手(左)に判定勝ちした成松大介=2019年9月、エカテリンブルク(共同)
 日本選手団は、日本とカザフスタンで合宿を行い、2月のアジア・オセアニア予選に臨む。 先日、国内の選考会を視察に行ったが、国内で優勝した選手から「予選を勝ち抜き、自力で五輪出場を獲得する」と頼もしい声が聞けた。
 
 アマチュアボクシング改革も大きく進んでいる。その集大成として、大舞台となる東京五輪での複数メダル獲得に期待したい。