2019年12月30日 15:37 公開

アメリカのドナルド・トランプ大統領が、弾劾調査のきっかけをつくった内部告発者とされる人物の名前が含まれたツイッターの投稿をリツイートし、大きな批判を浴びている。

トランプ氏は27日夜、@surfermom77 というアカウントのツイートを拡散。このアカウントは自己紹介に「100%のトランプ支持者」と書いている。

このリツイートは一時、トランプ大統領のアカウントから消えたものの、再び閲覧できるようになっている。

トランプ氏はかねて、内部告発者の身元を明らかにするよう求めている。

弁護士の警告を無視

内部告発者の弁護士は11月、この人物が「身体的な危険にさらされている」として、大統領に発言をやめるよう書面で警告した。

しかし大統領は、この呼びかけを無視している状態だ。

内部告発者は、アメリカの情報機関の職員とされる。

アメリカの連邦法では、政府の不法行為の証拠を持つ人を守るため、内部告発者の保護が定められている。

「ボットの特徴」

トランプ氏がリツイートした@surfermom77は、過去に反イスラム教的なツイートをしているほか、バラク・オバマ前大統領がムスリムだという陰謀論を拡散していた。

AP通信の報道によると、このアカウントには、プログラムが特定の内容を自動投稿する「ボット」の特徴があるという。

また米紙ニューヨーク・タイムズによると、フェイスブックは内部告発者と思われる人物の名前の投稿を禁じているが、ツイッターはこうした措置を取っていない。

AP通信に対する声明でツイッターは、@surfermom77のツイートは「ツイッターの利用規約に違反していない」と回答した。

また28日午後には、システムに障害があり、一部のツイートが見られなくなっていたと発表している。ただし、障害の規模や、大統領のリツイートが一時閲覧できなかったこととの関連については言及しなかった。

トランプ氏は27日の深夜にこの投稿をツイートしたが、28日午前にはアカウント上に表示されていなかった。その後、29日午前中にふたたび閲覧できるようになっていた。

「大統領は内部告発者を守る義務がある」

トランプ氏は内部告発者の身元を明らかにしようとしていることについて、すでに民主党幹部らから批判を浴びている。

今回のリツイートを受け、内部告発者保護の法律に詳しいスティーヴン・コーン弁護士は米紙ワシントン・ポストの取材で、大統領は内部告発者を守る責任を侵害していると指摘した。

「この人物を守るのが大統領の義務だ。それをせずに、ましてや侵害するなど考えられない」

過去に連邦捜査局(FBI)で内部告発を行ったマイケル・ジャーマン氏はAP通信に対し、「アメリカの大統領が内部告発者を傷つける行いに関わることは全く間違っている」と述べ、個人の身元がインターネット上で拡散されやすくなっている現在の状況を受け、法的保護を強化する必要があると指摘した。

ワシントン・ポストと英紙ガーディアンによると、右翼メディアに内部告発者だと名指しされた人物は、大統領のツイートによって脅迫が急増し、武装した警官が職場まで車で送り迎えをしているという。

内部告発が弾劾調査の引き金に

この内部告発者は8月、トランプ氏が7月にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と行った電話会談について、「非常に気がかり」な内容があると所管の監察総監に報告した。

民主党はこの告発を受けて弾劾調査を開始。通話記録から、トランプ氏が来年の米大統領選で民主党候補となるかもしれないジョー・バイデン前副大統領を汚職関連で捜査するよう、ゼレンスキー大統領に圧力を掛けていたとして、権力乱用で弾劾訴追を行った。

また、弾劾調査に協力しなかったとして、議会妨害も弾劾条項に加えられた。下院本会議は12月18日に、弾劾条項2項目をいずれも可決した。

トランプ大統領は一貫して、一連の弾劾手続きは「魔女狩りだ」と批判している。

今後、共和党が多数を占める上院が弾劾裁判を開く。上院が大統領を罷免するには3分の2以上の賛成が必要なため、トランプ氏は留任するものとみられている。

(英語記事 Trump faces criticism over whistleblower tweet