2020年01月07日 16:35 公開

米軍によるイランの司令官殺害を受けて両国の緊張が高まる中、イラン系の旅行者がアメリカの国境で検問所職員に嫌がらせをされていると訴えている。

BBCニュースの取材に対し、複数のイラン系の旅行者が、個人情報や政治観などについて不適切な質問をされたと話した。あるグループは、カナダからアメリカに入る際に数時間も足止めされたという。

こうした疑惑を受け、野党・民主党議員からは当局の対応を非難する声が出ている。

ワシントン州ブレイン近郊のピースアーチ検問所では5日、約60人のイラン系アメリカ人が最大7時間半も足止めされた。

アメリカ最大のイスラム教市民団体「米イスラム関係評議会(CAIR)」は、検問所職員によって旅行者が「ハラスメント」を受けたと批判した。

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シアトル在住のセファル・エブラヒムザデフさんは、アメリカの永住権(グリーンカード)を持つイラン系カナダ人。カナダのブリティッシュ・コロンビアから陸路でアメリカに入国しようとしたところ、ピースアーチ検問所で6時間足止めされ、繰り返し質問を受けたと話した。

BBCペルシャ語の取材でエブラヒムザデフさんは、国境警備員からは出生地やイランで高校に何年在籍していたか、職歴、さらにはエブラヒムザデフさん本人と父親の兵役や親戚の情報を聞かれたと話した。

また、隣にいた別のイラン系の旅行者も数時間待たされ、ソーシャルメディアのアカウントについて質問されていたという。

CAIRは、10時間待たされて入国が許された人もいれば、入国を拒否されたケースもあると指摘。また、政治観や国家への忠誠心について質問を受けている間、パスポートを返してもらえなかった人もいたと述べた。

ペンシルヴァニア大学のジョン・ガズヴィニアン教授は5日、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港に到着後、別室に連れて行かれ、「イランの状況」について質問されたとツイートした。

当局は疑惑を否定

アメリカの税関国境警備局(CBP)は、疑惑を否定する声明を発表している

CBPのマイク・フリール報道官は、「CBPが出生地を理由にイラン系アメリカ人の入国を拒否しているというソーシャルメディア上の投稿は虚偽だ」と説明した。

一方で、イランとの緊張が高まっていることを受け、検問所での警戒態勢が強化されていると述べた。

また、入国時に嫌がらせを受けたとするイラン人グループが到着した際の、ピースアーチ検問所での待ち時間は平均4時間程度だったとしている。待ち時間が長くなったのは、ホリデーシーズンで旅行者が多かったからだという。

カナダの国境管理局は、「この件には一切関わっていない」と声明を発表。

BBCニュースに提供された声明で、「出自に関わらず、全てのカナダ人は法の前と法の下で平等だ。また、人種や宗教のみを理由に、カナダの国境で不当に拘束されたり、入国を拒否されることはない」と説明した。

民主党議員からは懸念の声

CBPに対する訴えを受け、民主党の議員からは懸念を表明する声が相次いだ。

今年の米大統領選で民主党の大統領候補指名を目指しているエリザベス・ウォーレン上院議員は、「こうした報告はとても気がかりだ。イラン系アメリカ人は他のあらゆるアメリカ国民と同じ権利を持っているし、国境では偏狭で人種差別的な取り調べではなく、品位と敬意を持って扱われなくてはならない」とツイートした。

https://twitter.com/ewarren/status/1214265890855886848


プラミラ・ジャヤパル下院議員(ワシントン州選出)も、このニュースに「非常に懸念している」と述べた。

また、バーバラ・リー下院議員(カリフォルニア州選出)はツイッターで、「アメリカ国籍の人や永住権保持者も含め、イラン系の人が検問所で拘束されている」という情報を持っている人は、自分の事務所に連絡してほしいと呼びかけた。

(英語記事 Iranian-Americans 'harassed' by US border officials