2020年01月08日 14:01 公開

オーストラリア全土で猛威を振るう森林火災を、世界中が恐怖と共に見守っている。昨年9月に始まったこの火災で2000軒近くの家屋が破壊され、少なくとも25人が死亡。数億匹の動物が犠牲になったとみられている。

こうした状況を受け、オーストラリア国内外の政治家や著名人が、さまざまな方法で援助を募っている。

一方で当局は、一部の援助はその内容によってむしろ妨害になったり、被災地域を困惑させるようなものだと警告している。

これまでにどのような援助があったのか、何が必要とされているのかを紹介する。

クリエーティブな募金活動

森林火災の危機を前に、多くの人が金銭的な援助を申し出ている。

オーストラリアのコメディアン、セレステ・バーバーさんが始めた消防局の募金活動は、開始から48時間で2000万オーストラリアドル(約15億円)以上を集めた。現在は110万人以上が参加し、3000万豪ドルに達している。バーバーさんは、集まった資金をニューサウスウェールズ州の消防当局に寄付する予定だ。

オーストラリアの大企業や、同国出身の歌手カイリー・ミノーグさん、俳優のニコール・キッドマンさんやクリス・へムズワースさんといった著名人からも、多額の寄付が集まった。

また、アメリカの歌手ピンクさん、イギリスのエルトン・ジョンさんも寄付した。

ピンクさんとへムズワースさんは、自身のソーシャルメディアアカウントに各州の消防局の一覧を掲載し、募金を呼びかけた。

https://twitter.com/Pink/status/1213350834672586752


https://www.instagram.com/p/B7AG8XHp-wQ/


奇抜な方法で募金活動を行う著名人も現れた。

オーストラリアの伝説的なクリケット選手シェイン・ワーンさんは、自分のクリケットキャップをオークションにかけると発表。これまでに30万豪ドルの値がついた。

オーストラリアのクリケット選手は、国際試合のデビュー戦で「バギー・グリーン」と呼ばれるキャップをもらい、キャリアの間それを被り続ける。集まった資金はオーストラリア赤十字の災害救援救護基金に寄付される。

今年のゴールデングローブ賞でテレビドラマ部門の主演女優賞(コメディ・ミュージカルシリーズ)を受賞した英女優・脚本家のフィービー・ウォーラー=ブリッジさんは、授賞式で着ていたスーツをオークションにかけると発表した。

また、豪テニス選手ニック・キリオスさんは、1月以降、1回サーブを打つごとに200豪ドルを寄付すると述べた。

テニスの世界からは他にも、世界ランキング1位のアシュリー・バーティー選手が、ブリスベン大会で得た150万豪ドルの賞金を全て寄付すると発表。ロシアのマリア・シャラポワ選手やノヴァク・ジョコヴィッチ選手も寄付を申し出た。

さらに、カリフォルニア在住のモデル、ケイラン・ワードさんは、寄付の証明書と引き換えに自分のヌード写真を送ると発表。これまでに50万ドル以上を集めたという。

食料や物資の寄付は?

被災地にはおもちゃや食料、家具などの寄付が殺到している。しかし、当局はこうした厚意は時として問題になると警告している。

ニューサウスウェールズ州非常事態管理局(OEM)の広報担当者は、物資があふれることで「二次災害」が起きる可能性があると述べた。

広報担当のジェレミー・ヒルマン氏は豪民放ABCの取材で、「残念ながら、被災地がすぐに寄付された物資で溢れかえるという事態は良くあることだ」と述べ、復興会議用の部屋が寄付物資で埋まってしまうことがあると話した。

ヴィクトリア州でも同じような問題が起きており、当局は援助を申し出る場合は金銭で、寄付や募金を行うか、被災地で直接ものを買うなどしてほしいとしている。

同州のリサ・ナヴィル警察・救急担当相は、「これ以上の食料や服は必要ない。資金をください(中略)現地の企業やコミュニティーを支援してください」と呼びかけた。

ソーシャルメディアでは、火災がおさまった地域に旅行するよう呼びかける声があがっている。

SNSユーザーはハッシュタグ 「#GoWithEmptyEskies(空っぽのクーラーボックスを持って行こう)」を使い、ホテルや食料、飲料、燃料など旅行に必要なものを現地で購入することで、地域経済の再建を助けようとしている。

フェイスブックでは、「クーラーボックスは空のまま、車にも何も積まず、ガソリンも補充せずに行こう(中略) 被災地には再建を超え、立ち直るための長く継続的な支援が必要だ。空っぽのクーラーボックスは、あなたの想像以上に物事を変える」という書き込みが3万6000回以上シェアされた。

援助の呼びかけ

オーストラリア出身の俳優ラッセル・クロウさんやケイト・ブランシェットさんは、ゴールデングローブ賞の式典で森林火災や気候変動による危機について言及した。

ブランシェットさんは、「どこかの国が気候の大惨事に見舞われているなら、私たちもみな、同じ惨事に直面しているということ」と語った。

豪女優のマーゴ・ロビーさんはインスタグラムに掲載した投稿で募金を呼びかけた。幼少期の写真を見せて「どんなにこの国が美しいか」と語り、感極まる場面もあった。

https://www.instagram.com/p/B689UOeDtSj/


政界からは、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ドナルド・トランプ米大統領、ボリス・ジョンソン英首相などが、スコット・モリソン豪首相に電話をかけ、連帯を表明した。

フィジーのフランク・バイニマラマ首相は、モリソン首相に「我々にできることなら何でも」援助すると申し出た。

イギリス王室のメンバーも、被災者に「祈りと思いを寄せている」と述べた。

消火活動への参加

現在、オーストラリアで消火活動に当たっている消防隊員の大半は、対価をもらっていないボランティアだ。何千人もの地元住民が、命と生活を賭して危機に立ち向かおうとしている。

あるボランティア消防員はBBCの取材で、「情熱と同胞愛があるからやっている」と話した。

多数の国が、消防隊員やヘリコプター、軍隊、資金などの提供を申し出ている。

モリソン首相はツイッターで、アメリカとニュージーランド、カナダ、シンガポールからの支援に感謝を述べた。

太平洋の島国ヴァヌアツは、「森林火災の被害者支援」のために25万豪ドル近くを援助すると発表。同国のジョサム・ナパト首相代理は、オーストラリアは「太平洋の隣人であり、友人」だと話し、「オーストラリアがいつもしてくれているように、我々もできる限りの援助がしたい」と述べた。

パプア・ニューギニアのジェイムズ・マラペ首相も、モリソン首相からの要請があれば約1000人の兵士と消防士を「派遣する準備ができている」と述べた。

動物用の毛布を編む

このほか、森林火災で住む場所を失った動物のため、世界中で毛布や保護袋を作る動きが始まっている。

「アニマル・レスキュー・クラフト組合」はロイター通信の取材で、コウモリ用の毛布や、コアラ用の手袋、動物向けのベッドなどを作る申し出が殺到していると話した。

同組合のフェイスブックページには、カナダやアメリカ、イギリスなどから支援のメッセージが届いている。

(英語記事 How the world has responded to Australia's fires