2020年01月09日 12:57 公開

2016年に神奈川県相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害され、職員2人を含む26人が負傷した事件で、殺人罪などに問われた元職員、植松聖(さとし)被告(29)の初公判が8日、横浜地裁で開かれた。植松被告は起訴内容を認めたものの、弁護団が被告は精神障害があったとして無罪を主張した。

検察官が起訴状を読み上げた後、裁判長から「今読み上げた内容に違っているところはありますか」と問われると、植松被告は「(間違いは)ありません」と答え、起訴事実を認めた。

しかし被告の弁護団は、「被告は大麻の乱用で精神障害を発症し、事件当時は別の人になっていた」と述べ、心神喪失で無罪、あるいは心身衰弱だったとして刑の軽減を求めた。

植松被告は事件後、血液検査から大麻の薬物反応が確認されていた。

一方、検察側は被告には「完全責任能力があった」と主張している。

指をかみ切ろうと

植松被告はこの日の公判で、開廷から間もなく、口の中に指を入れ、右手の小指をかみ切るような動作をした。刑務官が制止しようとすると、被告は暴れ出した。取り押さえられた被告は15分程度で退廷することとなった。

植松被告は有罪となれば死刑になる可能性がある。判決は3月16日に言い渡される予定。

植松被告はこれまで、重度の障害者は「社会の負担」、「障害者なんていなくなればいい」などと話したと報じられている。

この事件は、凶悪犯罪がまれな日本の人々に衝撃を与えた、国内最悪の犠牲者数を出した殺人事件の1つで、日本での障害者をめぐる問題点を提起した。

初公判を迎えても、遺族のほとんどは被害者の実名を伏せたままだ。家族に障害者がいるということを知られたくないという思いがあるようだ。

しかし、初公判開始前に、この事件で娘を失った1人の母親が、報道機関に手記を寄せ、娘の下の名前を公表した。

手記には、「本当に笑顔がすてきで、かわいくて仕方がない自慢の娘でした」、「美帆は一生懸命生きていました。その証しを残したいと思います」、「美帆の名を覚えていてほしいです」とつづられている。

就寝中の入所者を刃物で

起訴状や報道によると、植松被告は2016年7月26日午前2時40分ごろ、複数の刃物を持って、「津久井やまゆり園」に窓を割って侵入。就寝中の入所者を次々に刺した。

19歳から70歳までの19人が殺害された。このほか25人が負傷し、うち20人が重傷だった。

被告は犯行後、施設から自分で車を運転して津久井署に出頭した。

神奈川県警が当時、記者団に語ったところによると、植松被告は出頭時に血が付いた包丁やナイフを持っていたという。

神奈川県の担当者らによると、施設には入所者約150人が暮らしており、事件当時は職員9人が勤務中だったという。

政治家への手紙

報道によると、植松被告は同年2月に東京都千代田区の衆院議長公邸に手紙を持参して訪れていた。

手紙には、「私は障害者総勢470名を抹殺することができます」、「私の目標は重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です」などと書かれていたという。

その後、同被告は2週間近く措置入院させられていた。

(英語記事 Suspect admits Japan care home mass killings