2020年01月09日 14:23 公開

森林火災が深刻な被害をもたらしているオーストラリアで、何千頭もの野生のラクダが命を奪われる見通しだ。火災で焼け死ぬのではなく、当局がヘリコプターから撃ち殺す。

南オーストラリア州では、森林火災の原因にもなっている高温と乾燥により、ラクダが水を求めて大挙して先住民アボリジニの居住地に進入。建物などに被害を及ぼしている。

そのため、個体数を減らす必要に迫られているのだ。

「ラクダは水を探して通りをうろついている。子どもたちの安全が心配だ」と、アボリジニのカニピ地区で暮らすマリタ・ベイカーさんは話す。

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エアコンの水を

オーストラリア連邦政府の環境と水の担当省は8日、同州のアナング・ピチャンチャチャラ・ヤンクニチャチャラ(APY)地域で殺処分を開始。5日間にわたって続ける。APYは人口密度が低いが、先住民グループの集落が多数ある。

野生の馬も一部、殺処分するという。


APY管理者のリチャード・キング氏は、「ラクダが水を探し求め、APYにあるアボリジニ地区の土地や畜産業が深刻な影響を受けている」とする声明を発表。

「現在の乾燥状態とラクダの大群が、APYのすべての主要なコミュニティーとインフラを脅かしている状況では、即時のラクダの頭数制御が必要だ」とした。

APYの幹部メンバーでもあるベイカーさんも、ラクダが柵を倒し、民家に近づいてエアコンの冷却水を得ようとしていると述べる。

メタンガスも問題

ラクダはもともとオーストラリアにはいなかった。19世紀にイギリス人移住者によって、インドやアフガニスタン、中東から運び込まれた。

現在の生息数の推計は幅があるが、オーストラリア中央部で数十万頭に上るとされる。

柵や農機具を損傷したり、居住地を荒らしたりするほか、住民に欠かせない水を飲むなどしている。

また、排泄によりメタンガスが発生。気候変動にも影響が及んでいる。

(英語記事 Australia begins mass camel cull