出典:台湾経済部統計処(筆者作成)
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 上図は台湾の経済成長率を示したものだ。2008年5月から16年5月までが国民党の馬英九政権、それ以降が蔡英文政権の担当する期間である。

 リーマン・ショックによる落ち込み、反動からの急成長と、ジェットコースターのような推移を見せる馬政権期と比べ、蔡政権期は安定している。便宜的に2008年から15年を馬政権、16年から19年を蔡政権の期間とするが、平均を取ると馬政権期が3%、蔡政権期が2・9%とほとんど差はない状況だ。
出典:台湾経済部統計処(筆者作成)
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 失業率を見ると、安定傾向はさらに明確で、馬政権から始まっている失業率のなだらかな低下が続いている。「経済か、独立か」という問いは4年前の総統選でも共通のテーマだ。台湾市民は経済の損失を覚悟して独立を選んだはずだが、あにはからんや、実はマクロ的には経済にもダメージは出ていないのである。少なくともグラフを見る限り、経済も独立も両方ゲットだぜ、ということになるわけだ。

 本当にそうなのだろうか。中国共産党がもっともシャカリキになった制裁ツールと呼ばれる訪台観光客数を見てみよう。
出典:台湾経済部統計処(筆者作成)
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 大陸観光客数は2015年ののべ418万4千人をピークに、18年には269万6千人にまで減少している。観光客数の面では中国共産党は有言実行(?)というべきか、きっちり数を絞ってきたわけだ。

 だが、その他の国を合わせた観光客総数では実は一度もマイナス成長することなく、最多数を更新し続けている。中国本土から人を呼べなくなった分、他の国からの招致に力を注いだ結果だ。

 もう一つの「制裁」ポイントである輸出はどうなっているのだろうか。
出典:台湾経済部統計処(筆者作成)
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 輸出全体という大枠で見る限り、「制裁」の影響は現れていない。特に注目すべきは、全体の輸出成長率と中国・香港向けのトレンドがほぼ合致している点だ。台湾の全輸出に占める中国・香港の比率は40%前後で最多だが、その全体的なトレンドは、「制裁」といった政治的な意志で大きな変化はなく、世界経済の変動とほぼ同一であることを意味している。