2020年01月17日 14:18 公開

アメリカの政府監査院(GAO)は16日、米政府が違法行為をしたと発表した。議会が承認したウクライナへの支援を留保したことが法律違反だと認定した。

この発表は、米議会上院でドナルド・トランプ大統領の弾劾裁判が始まったタイミングと重なった。

トランプ氏は、ウクライナに政敵の捜査を進めるよう圧力をかける目的で、同国への支援を凍結させたと告発されている。

一方、ウクライナも、トランプ氏の弾劾裁判に関係する、独自の調査を開始した。

「法が認めないことをした」

GAOは、トランプ政権によるウクライナ支援の凍結について、「議会が立法した内容を大統領が自らの優先政策と置き換えることは、法の誠実な執行上、認められていない」と指摘。

ホワイトハウスの行政管理予算局(OMB)が、「執行留保統制法(ICA)で認められていない、政策上の理由による支援の留保をした」と認定した。

1974年制定のICAは、議会が決定した支援を政府が留保するのを違法としている。また、政府が支援を遅らせたり止めたりする場合は、事前に議会下院に通告しなければならないと定めている。

トランプ政権は、この事前通告をしなかった。

ICAに違反しても罰はない。過去に複数人の大統領が、GAOにより法律違反を認定されている。

ICAは、OMBが支援実施のために訴訟を起こすことを認めているが、実際に訴訟を起こしたのは1件だけだ。

トランプ政権は反発

GAOの判断に対し、米政府は不同意を表明。「メディアで注目の議論に加わろうと」していると批判した。

一方、野党・民主党は歓迎。トランプ氏に犯罪行為はなかったとする共和党の主張を否定するものだとした。

民主党のナンシー・ペロシ下院議長は16日朝の記者会見で、政府は「法を破った」と述べた。

前駐ウクライナ大使を監視したか

トランプ氏をめぐっては、ウクライナでも刑事捜査が始まった。トランプ氏の支持者らが、前駐ウクライナ大使のマリー・ヨヴァノヴィッチ氏にスパイ行為をしていたかが焦点だ。

ウクライナ系アメリカ人の実業家レフ・パルナス被告から得られた手紙や電話記録などは、ヨヴァノヴィッチ氏が監視されていたことを示している。

パルナス被告は、トランプ氏の個人弁護士ルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長の側近。


米下院民主党が弾劾審議に出した証拠は、パルナス被告とジュリアーニ氏が、ヨヴァノヴィッチ氏の排除について協議したことを示している。ヨヴァノヴィッチ氏は昨年5月に解任されたが、理由は不明のままだ。

パルナス被告は15日、米テレビ局MSNBCで、ヨヴァノヴィッチ氏はトランプ氏が承認した計画の邪魔をしたため解任されたと主張。計画は、米政府がウクライナ政府に対し、ジョー・バイデン前副大統領(民主党)の捜査について発表するよう促すものだったとした。

バイデン氏は今年11月の大統領選で、トランプ氏の対抗相手となる可能性がある。

トランプ氏は「完全に知っていた」

パルナス被告はまた、トランプ氏とジュリアーニ氏の代理としてウクライナに行き、バイデン氏と息子のハンター氏の捜査を進めるよう、当局に圧力をかけたと述べた。


そして、トランプ氏は「何が起きているが完全に知っていた」とし、こう続けた。

「ルディ・ジュリアーニや大統領の了解なしには、私は何もしない。(ウクライナのウォロディミル・)ゼレンスキー大統領の側近や(内務省のアルセン・)アワコフ大臣などの人々、(ペトロ・)ポロシェンコ(前)大統領が私と会うのはなぜか?」

「私は誰だというのか? 彼らは私と会うよう言われていた。これが彼らの隠そうとしている秘密だ。私は彼らの仕事をするため現地にいたのだ」

関連書類からは、パルナス被告がジュリアーニ氏やウクライナ当局者らと定期的に連絡を取っていたことがわかる。

パルナス被告の自筆メモには、「バイデン事案を捜査するとゼレンスキーに発表させる」と書かれており、同被告がゼレンスキー氏への働きかけに直接関わったことをうかがわせる。


「写真は誰とでも撮る」

パルナス被告はまた、バイデン氏について捜査しない限り、マイク・ペンス副大統領がゼレンスキー大統領の就任式に出席することはないと、ウクライナ当局者に伝えたと述べた。

トランプ氏はこれまで、パルナス被告のことを知らないと話している。

パルナス被告やジュリアーニ氏の部下らと一緒に写った写真があることについては、トランプ氏は、「誰とでも写真を撮るから、彼らと一緒に撮った可能性はある」と述べた。

(英語記事 White House 'broke law' by withholding Ukraine aid