2020年01月21日 11:45 公開

米上院でドナルド・トランプ大統領に対する弾劾裁判の本格審理が始まるのを翌日に控え、トランプ氏の弁護団は20日、直ちに無罪判決を下すよう要求し、一連の弾劾手続きを合衆国憲法に対する「危険な歪曲(わいきょく)」だと批判した。

弁護団は議会に提出した171ページに及ぶ弁論趣意書で、下院が昨年12月に可決した権力乱用と議会妨害の弾劾条項は、「軽薄で危険」だと非難し、いずれも犯罪には当たらず、弾劾に相当する行為ではないと主張した。

「下院の民主党は2件の薄っぺらい弾劾項目で納得したが、どちらも何の犯罪も法律違反も訴えていない。ましてや、憲法が要件とする『重罪と軽罪』になど当たらない」と弁護団は述べ、「大統領を罷免するための憲法上の基準値に、まったく遠く及ばない」と訴えた。

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これに対して、弾劾訴追を決議した下院の「弾劾管理人」たちも同様に訴追の趣意書を上院に提出。トランプ氏が「次の選挙でずるをするため(中略)汚職行為」に及んだと糾弾。トランプ氏が「大統領権限をもってして、弱い立場にある外国の友好国に圧力をかけ、自分の利益のために我が国の選挙に介入するよう働きかけた」と非難した。

「それによって(トランプ氏は)この国の安全保障と、民主的自治を脅かした」、「さらに自らの大統領権限を使い、この共和国の歴史で前例のない隠ぺい工作を画策した」と、弾劾管理人は主張した。

下院は野党・民主党が多数を占める。刑事裁判の検察官に相当する弾劾管理人は、民主党の下院議員7人。民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長が選び、下院が可決した。

上院での弾劾審理は21日午後1時(日本時間22日午前3時)に始まる。審理は週6日間、1日6時間の予定で進み、裁判長は連邦最高裁のジョン・ロバーツ長官が務める。

アメリカ大統領が弾劾裁判にかけられるのは、史上3人目。

トランプ氏は、今年の大統領選で対立候補になるかもしれないジョー・バイデン前副大統領とその息子について捜査着手を公言するよう、昨年夏にウクライナ大統領に働きかけ、引き換えに軍事援助の凍結をちらつかせたとされる。これが権力乱用にあたると下院は決議。また、この問題について政府職員の議会証言を阻止するなど、下院の調査を妨害したとして、議会妨害でも弾劾決議された。

理論上は、上院は弾劾裁判の結果、トランプ氏の罷免を可決する可能性がある。しかし、それには定数100議席の上院で3分の2(67議席)以上の賛成が必要となる。野党・民主党の議席は47議席しかないため、実際にトランプ氏が解任される可能性はきわめて低い。

本格審理の開始をよそに、トランプ氏はスイス・ダヴォスで同じ日に始まる世界経済フォーラムへ向かった。

(英語記事 Trump impeachment: President's lawyers demand immediate acquittal