2020年01月22日 14:00 公開

ショーン・コクラン、BBCニュース家族・教育問題担当編集委員

ロンドンがイギリス国内における「エリートの聖域」と化し、恵まれない家庭の若者らにとって「立ち入り禁止区域」になっていると、社会的流動性の問題に取り組む団体が指摘している。

英慈善団体「サットン・トラスト」は報告書で、住居費の高さが社会的な障壁になっているとしている。

報告書は、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の研究を引用。ロンドン以外では、社会的流動性(貧しい家庭の子どもが中流以上の家庭を築くなど)がより容易だと分析している。

ロンドンで立身出世は「神話」

サットン・トラスト会長のサー・ピーター・ランプルは、ロンドンに出て「世の中で上に行く」という考えは「神話」になったと話した。

報告書はまた、若者がロンドンに移住し、同市に集中している高給の仕事に就くのは、いっそう難しくなっているとしている。

<関連記事>

「ロンドンでチャンスからもっとも多くを得ているのは、そこで生まれたか、国内の他地域の経済的に恵まれた家庭の出身者だ」と、サー・ピーターは述べた。

「ロンドンは、首都以外で育った貧しい家庭出身の意欲的な人にとって、実質的に立ち入り禁止区域になっている」

こうした状況は、ロンドンで無収入で暮らせる人だけが利用できる、無給のインターンシップなどの慣行によって悪化している。

超富裕層の影響

報告書はさらに、過去数十年でロンドンに超富裕層が誕生していると強調。金融によって富を手にしたケースが目立つと指摘している。

そうした裕福なエリート層には、「能力主義信仰」を支持しながら自らは特別に有利な立場にいるとは考えない、自覚の欠落がみられると警告している。

また、富裕エリート層は「自分と同じような多くの人々に囲まれている」ため、自らを「特別に恵まれている」とは考えないと分析している。

他都市では流動性

一方、ロンドン以外においては、出身地の近くにとどまる人たちの間で、より大きな社会的流動性がみられるとしている。

報告書によると、恵まれない家庭から社会的地位の高い仕事に就き、もっとも大きな社会的流動を果たした人の3人に2人は、出身地に近い場所で暮らしていた。

裕福な家庭に生まれた人はロンドンなど他の土地に移住する傾向が強かった一方、貧しい家庭の出身者には地元にとどまっている人がより多くみられた。

(英語記事 Super-rich elites making London 'off-limits'