清水英斗(サッカーライター)

「森保を解任しろ!」「もう限界だ!」

 U-23(23歳以下)アジア選手権がグループステージ敗退に終わり、森保ジャパンにかつてないほどの逆風が吹きすさぶ。それは戦術不足や采配などピッチレベルの不満も多いが、それ以外に、A代表と五輪代表を兼任する体制について疑問を呈する向きも多い。森保一監督の解任、あるいは兼任の中止を迫る声は勢いを増すばかりだ。

 「兼任」に対して懐疑的な声が増えたのは、昨年11月の「はしご」が始まりだった。

 11月は、A代表のワールドカップ(W杯)2次予選、アウェーのキルギス戦を14日に戦った後、森保監督は帰国し、既に11日から合宿中のU-22日本代表に合流した。そして17日のU-22コロンビア戦で指揮を執ると、0-2で敗戦。その後、再びA代表へ合流し、19日のベネズエラ戦で指揮を執ったが、こちらも1-4で完敗した。

 行ったり来たりの、はしご采配。それで結果が出たのなら文句は言われない。しかし、出なかった。それどころか、内容も乏しく大敗した。

「1チームに集中した方がいい!」「(五輪代表を担当する)横内コーチに任せた方がいい!」

 そんな声が出てくるのも無理はない。その前月である10月、U-22日本代表は南米遠征でU-22ブラジル代表と親善試合を行い、3-2で勝利を収めたばかりだった。

 指揮を執ったのは横内昭展(あきのぶ)コーチである。9月の北中米遠征ではU-22メキシコ代表に0-0で引き分け、U-22アメリカ代表に0-2で敗れ、結果は出なかったが、10月はサッカー王国に勝利を収めたことで、先行きへの期待が膨らんでいた。

 その直後の11月、指揮が森保監督に代わると、コロンビアに完敗。表層的な事実だけを追うなら、森保監督の動きが良い流れに水を差したように見える。
2020年1月、サッカーU-23アジア選手権のカタール戦に臨む森保監督(右)と横内コーチ=タイ・ラジャマンガラスタジアム(中井誠撮影)
2020年1月、サッカーU-23アジア選手権のカタール戦に臨む森保監督(右)と横内コーチ=タイ・ラジャマンガラスタジアム(中井誠撮影)
 もっとも、森保監督の指揮下でも、トレーニングの落とし込みや交代選手への指示は横内コーチ主体で行っているため、戦術的な影響がどれだけあったのかは微妙なところだ。それ以上に、この11月はA代表でプレーする堂安律(PSVアイントホーフェン)や久保建英(たけふさ、マジョルカ)をU-22代表へ招集した「融合開始」のタイミングでもあった。彼らを含めてメンバーが入れ替わったので、連係の積み上げがいったん弱くなったことは大きい。

 しかし、だからこそ普段はA代表で、特に堂安とは分かり合っている森保監督が、最初から五輪代表に帯同してコミュニケーションを取っていれば、「融合」をスムーズに進めることは期待できた。森保監督が2チームをはしごした、兼任のデメリットは間違いなくある。