2020年01月23日 13:08 公開

アメリカのドナルド・トランプ大統領に対する弾劾裁判は22日、与野党が証人召喚をめぐり激しく対立した。野党・民主党は、「証人取引」は交渉のテーブルにはないと述べた。

トランプ氏は、今年の大統領選で対立候補になるかもしれないジョー・バイデン前副大統領とその息子について捜査着手を公言するよう、昨年夏にウクライナ大統領に働きかけ、引き換えに軍事援助の凍結をちらつかせたとされる。

これが権力乱用にあたると下院は決議。また、この問題について政府職員の議会証言を阻止するなど、下院の調査を妨害したとして、議会妨害でも弾劾決議された。

ボルトン氏とハンター氏めぐる「証人取引」

民主党は、新証人として、昨年9月に解任されたジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を喚問したい考え。

昨年10月の下院での宣誓証言によると、ボルトン氏は政府によるウクライナ側への圧力を「麻薬取引」になぞらえたとされる。

一方、共和党はバイデン氏の息子ハンター氏を弾劾裁判の証人として召喚するべきだと主張している。

チャック・シューマー上院院内総務(民主党)は22日、休憩時間中に記者団に対し、「こうした証人取引は交渉のテーブルにはない」と述べた。

「これは、『ファンタジー・フットボール(実在するNFL選手を選んでチームを作るゲーム)』のトレードなどとは違う。(中略)裁判は証人をトレードする場ではない」

ボルトン氏は、法的な召喚状の送付がない限り、証人喚問への出席は考慮しない姿勢を示している。

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弾劾裁判は来週にも終了する見通し。上院は共和党が53議席と多数を占めるだけでなく、有罪判決には3分の2(67議席)以上の賛成が必要となる。そのため、トランプ氏が実際に解任される可能性はきわめて低い。

「民主党議員の腐敗した顔をにらむ」

スイス・ダボスで開かれている世界経済フォーラム年次総会(WEF、ダボス会議)に出席したトランプ大統領は、「(弾劾裁判で)最前列に座って、民主党議員の腐敗した顔をにらんで」対決するかもしれないと、冗談めかして警告した。

トランプ氏は、交渉の切り札として軍事援助をちらつかせたことはないと主張している。

バイデン氏の息子ハンター氏がウクライナのエネルギー企業ブリスマの幹部に就任した際、米副大統領だったバイデン氏はウクライナ政策を主導していた。

トランプ氏はこれまで、バイデン親子について、政治的取引や商取引で汚職を働いたとして非難しているが、証拠は示していない。

「関わりたくない」

バイデン氏は、自身の大統領選キャンペーンを行っているアイオワ州オーセージで22日、いかなる証人取引にも身を捧げはしないだろうと述べた。

「我々は、この状況を茶番や政治劇に転換するつもりはない。(中略)私は関わりたくない」

さらに、「息子が行ったことが不適切あるいは不正であると示すものは1つもない。息子がそこにいたことで悪く見られた」と息子を擁護した。

バイデン氏は昨年、自分が次期大統領に当選したら、自分の家族は誰1人として、外国企業とつながりのある仕事や取引関係を持たないと述べた。

「民主主義守るため」罷免を

アダム・シフ下院情報委員長(民主党)は、共和党議員に対し、「我々の民主主義を守る」ためにトランプ氏の罷免に賛成するよう求めた。

さらに、トランプ氏を解任させなければ、「我々の世界的な立ち位置を損なう」ことになるだろうと警告した。

審理初日は与野党の対立で、12時間を越える論戦となった。

提示された証拠の多くは、下院での証人喚問ですでに提示されたものを修正したものだった。

弾劾裁判では、不可解な規則によりコーヒーが禁止され、水と牛乳のみが認められている。審理中、複数の議員が居眠りしていた。

(英語記事 Democrats reject Biden witness swap in Trump trial