2020年01月27日 13:01 公開

ドナルド・トランプ米大統領が、ウクライナ疑惑解明の鍵を握るとされるマリー・ヨヴァノヴィッチ元駐ウクライナ大使の解任を命じていたとされる場面の動画が25日、米メディアで公開された。

動画は、2018年4月30日、ワシントンのトランプ・インターナショナル・ホテルで開かれた、献金者を招いた夕食会で撮影された。

トランプ大統領が、ヨヴァノヴィッチ氏を「排除しろ!」などと言っているのが確認できる。

ヨヴァノヴィッチ氏は昨年5月に解任されたが、理由は不明のままだ。

その後、ヨヴァノヴィッチ氏は、ウクライナ疑惑をめぐるトランプ氏の弾劾調査で非公開で証言。トランプ氏の含みのある発言を脅威に感じていたと述べた。

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動画を公開したのは、当時夕食会に出席していた、ウクライナ系アメリカ人の実業家レフ・パルナス被告の弁護人。パルナス被告は、トランプ氏の個人的な顧問弁護士、ルディ・ジュリアーニ氏の仕事仲間だった。

同被告は、同じくジュリアーニ氏と仕事上のつながりのあったイーゴリ・フルマン被告と共に、外国からの資金をアメリカの政治家に提供するため画策したとして、共謀や記録改ざんなどの罪で起訴されている。

トランプ氏は一貫して、パルナス被告のことは知らないと主張している。

米与党・共和党の献金者のパルナス被告は、トランプ氏とジュリアーニ氏のために、ウクライナ当局に圧力をかけるためにウクライナへ行ったと証言している。

トランプ氏はこれまでのところ、この動画について公式のコメントは出していない。

動画の内容

公開された動画は、フルマン被告の携帯電話で撮影された。

動画には、パルナス被告がヨヴァノヴィッチ氏について、「あちらの(ウクライナ)最大の問題」だと述べる音声が記録されている。

パルナス被告は、ヨヴァノヴィッチ氏の名前は挙げずに、「彼女は基本的にみんなにこう言い回っている。『待ってて、トランプ大統領は弾劾されるから、ちょっと待っていて』とね」と発言。

すると間もなくしてトランプ大統領が、「彼女を排除しろ。彼女を明日追い出すんだ。僕は構わない。彼女を明日追い出すんだ。彼女を連れて行け。いいか? やれ」と述べた。

この時、トランプ氏は駐ウクライナ大使の名前を尋ねていることから、個人的にヨヴァノヴィッチ氏のことは知らなかったとみられる。

ヨヴァノヴィッチ氏の解任理由

外交に33年間携わってきたベテランのヨヴァノヴィッチ氏が、駐ウクライナ大使を解任された理由は不明なままだ。

ヨヴァノヴィッチ氏は、汚職問題に取り組んだことが、自分を排除しようとしていた影響力のあるウクライナ人の怒りを招いたと証言した。

同氏はまた、自分の敵対相手が、トランプ氏の顧問弁護士のジュリアーニ氏など、トランプ政権内に仲間を見つけたようで、衝撃を受けたと述べた。

ヨヴァノヴィッチ氏の支援者は、同氏が米保守系メディアによって中傷されたと主張している。

トランプ氏は、ヨヴァノヴィッチ氏が、ウクライナの首都キーウ(キエフ)にある「米大使館に僕の写真を飾りたがらなかった」と発言。「僕のことを悪く言っていた。僕のことを支持する気がなかった。僕には大使を交代する権限がある」と、米フォックスニュースで述べた。

一方、ヨヴァノヴィッチ氏は弾劾調査の非公開証言で、自分がトランプ氏に対して不忠だったとする訴えは虚偽だと述べた。

弾劾裁判

トランプ氏は、今年の大統領選で対立候補になるかもしれないジョー・バイデン前副大統領とその息子ハンター氏について捜査着手を公言するよう、昨年夏にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に働きかけ、引き換えに軍事援助の凍結をちらつかせたとされる。

これが権力乱用にあたると下院は決議。また、この問題について政府職員の議会証言を阻止するなど、下院の調査を妨害したとして、議会妨害でも弾劾決議した。

トランプ氏は不正行為はなかったとし、弾劾調査は「魔女狩り」だと繰り返し反発している。

米上院で行われている弾劾裁判では、25日からトランプ氏の弁護団による冒頭陳述が始まった。

ホワイトハウスのパット・シポローニ法律顧問は、「トランプ大統領は間違ったことは一切していない」、民主党は「前回の選挙結果をひっくり返そうとしているだけでなく、(中略)トランプ大統領を、約9カ月後に行われる大統領選の投票から排除しようとしている」などと述べた。

(英語記事 Trump ordered Ukraine envoy's sacking in 2018 - tape/Democrats undoing election, say Trump lawyers