2020年01月28日 12:46 公開

ナチス・ドイツのアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所が旧ソ連軍によって解放されてから75年を迎えた27日、収容所跡地で追悼式典が行われ、ホロコースト(大虐殺)の生存者や各国首脳が出席した。欧米では近年、反ユダヤ主義が顕在化しており、こうした排斥思想に対抗するよう求める声が上がっている。

ポーランド南部の収容所跡地で行われた式典で、イスラエルのルーベン・リヴリン大統領とポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は共に、ナチスが数千人を射殺した「死の壁」に花輪を手向けた。

反ユダヤ主義と戦う

リヴリン大統領は、「ヘイト(憎悪)を拡散」し、民主主義を脅かす「声」を警戒するよう呼びかけた。

「反ユダヤ主義や人種差別、ファシズム懐古といった吐き気がするような悪と戦うことが、我々の責務だ」と、大統領は強調した。

近年では複数の国で頻発する反ユダヤ主義的な脅迫や暴力行為、インターネット上におけるヘイトスピーチ(憎悪表現)の蔓延(まんえん)をめぐり、懸念が広がっている。

他の民族や国に対する優越を掲げたナチス・ドイツは、約600万人のユダヤ人を虐殺。ほかにも、多数のポーランド人やソ連人捕虜、ロマ人、同性愛者、障害者などが殺害された。

アウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所での犠牲者は約110万人。その大半がユダヤ人だった。

多くのホロコースト生存者が出席できる大規模な追悼式典は、今回で最後になる可能性がある。

世界中から生存者が

ホロコースト生存者200人以上が、世界各地からアウシュヴィッツ収容所跡地を訪れた。その多くは当時の囚人服と同じ、青と白の縞模様のスカーフを着けて出席した。

解放の数カ月前に収容所内で生まれたというヤドヴィガ・ワクルスカさん(75)は、「母は生後4カ月の私を抱いて、ガス室に向かう列に並んでいました」と話す。

「私たちがガス室に近づくと、1人のドイツ人が私に気づきました。金髪に青い目の赤ちゃんだからと私たちを列から外れさせ、私は助かると言った。そのおかげで、私たちは生き延びました。私の北欧的な外見のおかげで自分たちは助かったと、母は言っていました」

「名前の壁」に犠牲者名を追加

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、首都パリで開かれた収容所解放75年の式典で演説。「反ユダヤ主義回帰はユダヤ人だけの問題ではない。これは我々全員にとって問題だ。フランス共和国の問題だ」と述べた。

改修されたショア記念館での式典では、犠牲者175人の名前が追加された「名前の壁」が公開された。この壁には、フランスから収容所へと追放された約7万7000人のユダヤ人犠牲者の名前が刻まれている。今回新た記録資料の調査の結果、1498人分の誕生日も新たに加えられた。

(英語記事 Holocaust Day prompts new anti-Semitism warnings