要するに、パワハラを防ぐには密なコミュニケーションが重要になってくるだろう。この指導はこういう意味があるなど、指導ごとに具体的に説明し、従業員を納得させる必要がある。仕事や指導などを上から押し付けることは、パワハラと言われるリスクをはらんでいると考えてよい。
 
 一方で、近年企業は、なにかと難癖をつける問題社員(ブラック社員)の出現によりその扱いに苦慮するケースが増えている。こうした社員の対応を誤ると、「パワハラ」と認定されてしまい、問題が大きくなることが多い。

 ではこのような社員への対応はどうすればよいか。基本は1人で対応せず、最低2人で対応し、女性の場合は同性に対応してもらう。その際、必ず録音されているとの認識で対応することが重要である。

 間違っても感情的な対応(暴言含む)をしてはいけない。そこを切り取られてマスコミなどに流されてしまうからだ。毅然とした態度で臨み、専門家の活用を検討すべきである。ブラック社員による「パワハラ告発」は、経営側だけでなく周りの社員にもマイナス影響を与える。些細なことであっても始末書を書かせるなど、こまめな指導をしていく必要があり、対応を間違えば多大な労力をかけられる。

 会社として相談があった場合は、事案ごとにその内容・程度とそれに対する指導の態様などの相対的な関係性が重要な要素となる。このため、個別の事案の判断としては、相談窓口の担当者らがこうした事項に十分留意し、丁寧に事実確認などを行うことが肝要になってくる。当事者だけでなく、第三者の社員へのヒアリングをしっかり行うことや、就業規則などに相談窓口について規定を作成していく必要もある。

 最近では、パワハラが裁判になることも多く、その際の慰謝料相場(100万円前後のケースが多い)が上昇しており、裁判で1千万円以上の請求が認められることもある。特に精神的疾患が伴った場合は高額になりがちだ。

 また、現在はかつてと時代が違い、特にネットの普及により、炎上するケースが増えている。パワハラ企業との認識がいったん広がると、この認識を払拭させるには時間と労力、費用がかかる。パワハラ=ブラック企業として広まれば、人材獲得や売り上げ、信用に影響し企業にとって最大のリスクになってしまうことを認識すべきである。
※写真はイメージ(ゲッティイメージズ)
※写真はイメージ(ゲッティイメージズ)
 要するに、経営者の従業員への度を越した発言はパワハラと認定され、会社を滅ぼすことに繋がりかねない。自分の従業員への言動が周りから見てどのように映っているか第三者に確認してもらう必要がある。ただし、変にパワハラになるかもしれないと過剰に意識し、従業員に気を遣い過ぎることもマイナス要素でしかない。

 最後にパワハラに該当する発言の一部を以下のようにまとめてみたので参考にされたい。一つでもチェックが当てはまる場合は、注意が必要である。

パワハラにあたる発言例の一部】「バカ野郎」「甘ったれるな」「ボコボコにするぞ」「しめたるぞ」「プロジェクトから外すぞ」「もう明日から来なくていい」「休みがあると思うなよ」「お前の代わりはいくらでもいる」「お前なんかいらない」「他の人はできるのに、なんでお前はできない」「ダメ人間」「給与ドロボー」「親の顔が見てみたい」「飯は食うんだ」「役立たず」「お前みたいのは転職しても同じ」「クズ」「休憩(年休)なんかあるわけない」「脳無し」