2020年01月29日 10:58 公開

米国務省は、マイク・ポンペオ長官が30日から予定している外遊の同行記者団から、米公共ラジオ局NPRの同省担当記者を除外した。長官はこの数日前にNPRの取材を受け、ウクライナ疑惑をめぐって別の記者と激しくやりとりしたばかりだった。

NPRによると、国務省はミシェル・ケルマン記者を、長官の同行記者団から排除した。理由は説明していないという。

記者会の代表は、国務省の決定は報復に当たると反発した。

国務省はコメントしていない。

「ウクライナを気にすると思うのか」

ポンペオ氏は24日、NPRの取材でメアリールイーズ・ケリー記者から、ウクライナと、駐ウクライナ大使を解任されたマリー・ヨヴァノヴィッチ氏について、繰り返し質問を受けた。

ヨヴァノヴィッチ氏の解任は、米下院によるドナルド・トランプ大統領の弾劾訴追において、要因の1つとなった。

ケリー記者はポンペオ氏に、ヨヴァノヴィッチ氏を擁護したか、または擁護すべきだったと思うかを聞いた。

9分間のインタビューの後、ケリー記者はポンペオ氏の部下に、同氏の私室に連れて行かれた。そこでポンペオ氏はケリー記者を怒鳴りつけ、何度もののしり、こう問いただしたという。

「アメリカ人がウクライナを気にしていると思うのか」

地図で指差すよう要求

ケリー記者によると、ポンペオ氏はウクライナがどこにあるか分かるのかと問いただした。これに自分は、分かる答えたという。

「すると彼(ポンペオ氏)は部下に国名が書かれていない白地図をもってくるように命じた」と、ケリー記者はNPRの番組で語った。

「私はウクライナを指差した。向こうは地図を片付けて、『みんなにこのことを知らせる』と言った」


インタビュー後のこのやりとりは録音していなかった。ケリー記者は、ポンペオ氏の部下はこのやりとりはオフレコだと言わなかったため、だから自分は対話に応じたのだと説明した。

ケリー記者は、ベテランの国内問題担当記者で、最近はイランで取材をした。

「容認できない」

NPRによると、国務長官の同行取材から外されたケルマン記者は約20年にわたり国務省を担当。しかし、ポンペオ氏が30日から予定しているヨーロッパと中央アジア訪問では、同行取材を認められていないという。

国務省記者会のショーン・タンドン会長は、「国務省記者団は長官の外国訪問に同行してきた長い伝統があり、会員を罰する行為は容認できない」とし、国務省に再考を促す声明を出した。

「うそを2回もついた」

ケリー記者の24日のインタビューでは、ウクライナについて聞かれたポンペオ氏は、「イランについて話すということで」取材に応じたと話した。これに対しケリー記者は、「あなたのスタッフに昨夜、イランとウクライナについて話を聞くと確認した」と言った。

するとポンペオ氏は、「今朝はそれについて、もう言うことは何もない」と答えた。

25日になり、ポンペオ氏は、「ケリーは私にうそをついた。2回も」という強い口調の声明を発表。1回目はインタビューの条件で、2回目は「インタビュー後の会話がオフレコ」だったことに同意したことだとした。

ポンペオ氏は証拠を示さず、声明ではこう続けた。

「この記者がジャーナリズムの基本ルールと礼儀をあえて冒したのは恥ずべきことだ」、「アメリカ人がメディアの多くの人を信用していないのは当然だ。彼らは常に自分たちが掲げる目的のために動き、誠実さに欠けている」

間違ったとほのめかす?

ポンペオ氏はさらに、「バングラデシュはウクライナではないと指摘しておこう」と書いた。これは、ケリー記者が間違った国を指差したと、ほのめかしたものとみられる。

ポンペオ氏は、インタビュー後の会話の内容については争わなかった。

NPRは、ケリー記者の取材を支持すると表明した。

(英語記事 US reporter barred from Pompeo trip