2020年02月01日 9:50 公開

ドナルド・トランプ米大統領に対する弾劾裁判の審理を勧める米上院(定数100)は31日、新しく証人を呼ぶよう求める野党・民主党提出の動議を、賛成49、反対51で否決した。これにより、来週にもトランプ氏に無罪判決が出ることがほぼ確実となった。民主党は、与党・共和党の穏健派議員4人による支持を期待していたが、その内2人しか証人尋問を支持しなかった。

民主党が多数を占める下院は昨年12月、トランプ氏を権力乱用と議事妨害で弾劾訴追した。しかし、53対47で共和党が多数の上院では党幹部が当初から、新しい証拠を検討したり新しい証人を尋問することなく、速やかに無罪判決を出す方針を示していた。

上院は来週にも、大統領の有罪・無罪について決議する見通し。共和党幹部のミッチ・マコネル上院院内総務は声明で、「上院議員はこれから非公開の場で、下院の弾劾管理人、さらには大統領の法務顧問と協議し、裁判を数日中に締めくくる準備のため、次の動きを決める」と述べた。

民主党は、昨年9月に解任されたジョン・ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の証言を強く希望していた。ボルトン氏は近く発刊する著書で、トランプ氏の発言について書いているとされる。そこには、政敵ジョー・バイデン氏の捜査にウクライナが合意するまで、同国への軍事援助を凍結するつもりだと、トランプ氏が自分に言ったと記述してあるとされる。

米紙ニューヨーク・タイムズが、ボルトン氏の本の内容を報道したのを機に、共和党内でもボルトン氏の証言を求めるべきではないかという意見が出た。しかし最終的に、共和党で証人尋問を支持したのは、スーザン・コリンズ上院議員(メイン州)とミット・ロムニー上院議員(ユタ州)の2人のみで、民主党の動議は否決された。

民主党が頼みの綱にしていたラマー・アレクサンダー上院議員(テネシー州)は採決に先立ち、これまでの審理で民主党はトランプ氏の行動が「不適切」だったことは証明したものの、それが罷免に相当することにはならないと、証人尋問に反対した。議員は、「問題は(弾劾罷免に相当する問題行動を)大統領が行ったかどうかではなく、大統領がそうしたか判断するのが合衆国上院なのか、それともアメリカ国民なのかだ。月曜にアイオワで始まる大統領選挙で国民がその判断をするよう、憲法は規定しているのだと私は考える」と、証人召喚に反対する理由を説明していた。

同様に、共和党穏健派とされるリサ・マーコウスキー上院議員(アラスカ州)も、「下院は拙速で欠陥のある弾劾条項を上院に送ってきた。その手続きの不備を正すために証人や証拠を追加する必要があるか慎重に検討したが、最終的には証人召喚の動議に反対することにした」と発表した。

大統領の罷免には上院(定数100)の3分の2以上の賛成が必要だが、証人召喚には過半数で足りる。そのため、45議席を持つ民主党は民主系無所属議員2人に加え、共和党から4人の賛成を得られれば、ボルトン氏らの証言を求めることができた。

下院は、トランプ氏が昨年7月にウクライナ大統領との電話で、軍事援助の凍結解除をちらつかせながら、バイデン親子への捜査を働きかけたほか、これに対する下院の調査を妨害したとして、トランプ氏を昨年12月に弾劾訴追した

もしもボルトン氏が上院で、大統領が確かに自分を選挙で有利にするために外国に交換条件として軍事援助の凍結解除を提示したと証言した場合、トランプ氏のよる権力乱用の重要な証拠になると、民主党は期待していた。

トランプ氏の弁護団はこうした事態を受け、大統領が自分の再選のために行うあらゆる行為は国民の利益のためだと言えるので、罷免には相当しないと主張。これには共和党からも異議が出ていた。

ホワイトハウスはその一方、国家安全保障上の重要機密が漏洩される懸念を理由に、ボルトン氏の著書の出版を阻止しようとしている。ボルトン氏は、そのような機密は本に含まれていないと反論している。

(英語記事 Trump impeachment: Failed witnesses vote paves way for acquittal