2020年02月03日 10:59 公開

ロンドン南部ストレサムで2日午後2時(日本時間同11時)ごろ、男が刃物で3人を刺して、負傷させた。男は警察にその場で射殺された。警察によると、実行犯はテロ関連罪で服役中だったところを、約1週間前に仮釈放されたばかりで、警察の尾行監視下にあった。

英政府は、昨年11月にもテロ罪で服役した男が仮釈放中に無差別殺傷事件を起こしたことから、テロ罪の服役期間を早急に見直すと公約している。

複数の目撃者によると、ストレサムの目抜き通りで午後2時過ぎに銃声3発が響いた。薬局チェーン大手ブーツの前に男が倒れ、武装警官が周囲に下がるよう指示しながら男に近づく様子が見えたという。

ロンドン警視庁によると、警官が射殺したのはスデシュ・アマン容疑者(20)。通り沿いの店舗に入り、ナイフで周囲の人を刺し始めた後、外に出て女性を刺したという。3人が負傷したものの、いずれも命に別状はないという。

警察によると、容疑者はにせの自爆装置を身につけていた。

武装警官たちは「対テロ作戦」の一貫で、容疑者を徒歩で監視中だったといい、「直ちに現場に到着し対応した」と説明した。

イスラム過激主義に関連する単独の事件として調べており、今後はテロ対策指令部の捜査員が、この事件の捜査を指揮するという。

容疑者は、テロ関連罪で実刑3年4カ月に服役していたところ、約1週間前に仮釈放されたばかりだった。今回の事件当時、警察の監視下にあったという。

BBCのダニエル・サンドフォード記者によると、目撃者たちは、現場近くで警察の覆面車両が別の車の前に割り込んで停車させる様子を見ていた。私服警官に尾行されていた容疑者がこうして制止され、この後に無差別刺傷と警察による射殺が起きた可能性がある。

ロンドン救急サービスは、現場で3人の傷の手当をして、全員を病院に搬送したと明らかにした。当初は40代男性が重体かと懸念されたが、命に別状はないという。

50代女性は手当てを受けてすでに退院した。20代女性は引き続き病院で、警官の発砲で飛び散ったガラス片によるものとみられる軽傷の手当てを受けている。

ジョンソン首相は、負傷者と家族に思いを寄せているとコメントし、即応した救急サービスの「速さと勇気」をたたえた。

ロンドンのサディク・カーン市長は、「テロリストは私たちを分断し、私たちの暮らし方を破壊しようとする。しかしここロンドンでは、決して成功させない」と述べた。

テロ罪の服役期間を「根本的に変更」

ジョンソン首相は、「テロ罪で有罪となった者に対応する仕組みを根本的に変更」するため追加計画を3日に発表すると述べた。

昨年11月末にロンドン橋近くでテロ罪で仮釈放中の元受刑者が無差別殺傷事件を起こして以来、政府は刑期の延長や警察予算拡大など、テロ対策強化に速やかに動いたと、首相は説明した。

BBCのクリス・メイソン政治編集委員によると、アマン容疑者は仮釈放時点で、市民に危害を加える危険が懸念されていたが、収監を継続するための法的仕組みがなかったという。

昨年のロンドン橋近くの事件も、テロ罪の刑期半ばで仮釈放された男によるものだっただけに、即応しているという印象を国民に「何としても与えたい」という気持ちが政府内に強くあると、メイソン記者は説明する。

上腕ほどのナイフ

事件を目撃した男性は、女性の悲鳴を聞いたとき自分は床屋にいたと話した。刺された女性は、バギーにのせた赤ちゃんと幼い男の子2人を連れていたという。

男性は、女性を刺した男が上腕のほどの大きさのナイフを手に歩いていくのを見たという。

ランニング中だったという別の男性は、銃声を聞いて「みんな叫んでパニック状態だった」と話した。「警官は、みんなに下がるよう大声で指示していた。地面に倒れた男に銃を向けていた」という。

現場近くの緑地ストレサム・コモンを歩いていたという別の男性は、覆面パトカーを含む複数の車両が衝突しあうのを見たと話した。「別のパトカーが誰かを追跡して丘に向かって走っていった」という。


量刑3年4カ月で微笑

スデシュ・アマン容疑者は2018年5月にロンドン北部でテロ攻撃計画の容疑で逮捕された。同年11月、テロ情報の含まれる書類を所持していた罪6件と、テロ出版物を頒布した罪7件で、有罪を認めた。

所持を認めたマニュアルのひとつは、「流血のブラジリアンナイフ戦闘テクニック」に関するものだった。

同年12月、ロンドンの刑事法院で実刑3年4カ月を言い渡された。

量刑言い渡しを傍聴していたBBCのダニエル・デシモーン記者は、言い渡しの際に容疑者がほほ笑んだのを覚えているという。

容疑者は2018年の逮捕前、旗の上にナイフと銃器2つを置いた写真と、「武器は整った。準備万端。4月3日」というアラビア語の言葉を会話アプリに投稿したことで、対テロ警察の捜査対象になった。

写真の旗には、「アッラーフの他に神はなし。 ムハンマドはアッラーフの使徒である」 とアラビア語で唱えるシャハーダの言葉が書かれていた。

(英語記事 Streatham attacker named as Sudesh Amman