河西秀哉(名古屋大准教授)

 英国のヘンリー王子とメーガン妃夫妻が1月8日、インスタグラムを通じて事実上の「公務引退宣言」を行い、世間に衝撃を与えた。「シニアロイヤル」と呼ばれる主要王族の立場から「引退」し、経済的独立に向けて取り組むと同時に、引き続きエリザベス女王を全面的に支援するとしつつ、一家で英国と北米を往来しながら生活するとの意思を発したのである。

 この発表は、エリザベス女王や父のチャールズ皇太子、兄のウィリアム王子らに相談なく行われたという。こうした発表を行った背景には、パパラッチなどのメディアから追いかけられ、批判されることに対して嫌気が差したこと、王室内において人種差別的な行いがあったことなど、メーガン妃の意思が大きく作用したと言われる。

 そして13日、エリザベス女王は、チャールズ皇太子やウィリアム王子、ヘンリー王子らとともに話し合いを行い、声明を発表する。その中では、「ヘンリーとメーガンの若い家族として新しい生活を作りたいという願いを、私たち家族は全面的に支持しています」と述べ、「公務引退宣言」を支持したのである。

 ヘンリー王子らの意思が全面的に受け入れられるかに見えた。ところが、18日になって、英王室はヘンリー王子らが一部の王族にのみ許されている「殿下・妃殿下」という敬称の使用をやめること、その活動に対する公的資金も放棄すること、居住するウィンザー城の敷地内のフロッグモア・コテージの改修費を返済することを表明した。

 ヘンリー王子らは王族として公務が行えなくなってしまったのである。翌日、ヘンリー王子は「他に選択肢がなかった」と述べて悔しさをにじませた。

 こうした英国の動きは、外国の出来事として片付けられるものではない。日本の皇室にも同様の動きが起こっても不思議ではない。
エリザベス女王(左)と並んで立つメーガン妃(中央)とヘンリー王子=2018年7月(AP=共同)
エリザベス女王(左)と並んで立つメーガン妃(中央)とヘンリー王子=2018年7月(AP=共同)
 実は以前、「皇籍離脱発言」を行った皇族がいた。三笠宮寛仁親王である。