上西小百合(前衆議院議員)

 日大ラグビー部の部員が大麻取締法違反(所持)容疑で先月逮捕され、その後起訴された。「自分で使った」と容疑を認めていたことを受け、同部は無期限の活動停止と、捜査に協力し再発防止に向けて全力で取り組むと発表した。

 以前も高校野球大会で準決勝まで駒を進めていた強豪校の部員数名が喫煙していたという理由で大会の出場を辞退した上に、当面の活動を自粛したことがあったので、おなじみの不思議な連帯責任劇に日本文化の悪い部分をまざまざと見せつけられた気がした。 

 同時に、その処分により巻き添えを食らい、努力を無駄にされた同部員たちのメンタルを案じる気持ちが沸きあがってきた。

 日本ラグビー協会の会長は、日大ラグビー部員が逮捕されたことを受け「がっくりくる。1人の行動によって、ラグビー界全体が言われるんだということの教育をやらないといけない」と述べている。
 
 当然、事件の再発防止や逮捕された学生の処分は厳正に対処していただきたいところだが、なぜ日大は逮捕された部員1人の責任を、大麻と何の関係のない部員たちに「連帯責任」という罰で押しつけたのだろうか。

 遊ぶ間を惜しみ、寝る間を惜しみ、厳しい部活練習に耐えてきたにもかかわらず、チームの1人がプライベートで悪事に手を染めたため、その努力が無駄にされてしまう。そんな連帯責任を負わされた報われない学生たちにいったい何が残るというのだろうか。人ならば誰しもが当たり前に抱く感情、「憎しみ」「怒り」「悔しさ」が残るのではないだろうか。生涯でたった4年間しかない大学生活の主軸を権力者によって「連帯責任」で奪われるのだ。

 実際日大は、今季の関東大学リーグ戦では1部に所属し2位。昨年12月に行われた全国大学選手権では8強進出を達成したが、逮捕された部員は選手権大会ではベンチ外だった。
2019年 12月 21日 大学選手権準々決勝 早稲田大対日本大(撮影・岡田茂)
ラグビー大学選手権準々決勝(早稲田大対日本大)後半点差を広げられた日大フィフティーン=2019年12月21日 (岡田茂撮影)
 加えて、こういう案件が生じれば、その分野のイメージが悪くなるという声が毎回のように上がるが、実際問題そんなことはない。報道を見る読者も視聴者も、そこまで冷静な判断ができないわけではない。単に集団の中の個に問題があっただけで、それは一部の話だということくらい理解できる。

 つまり、今回の処分は日大の上層部が「日本大学」ブランドを守ることに執着をし、大学の権力者たちが非権力者の学生たちに連帯責任という罰を負わせ、世間体だけを保っているとしか考えられない状況なのだ。