独立運動の「正体」は米軍基地撤廃運動


 県紙の沖縄独立論報道を読むたび、私が虚しさを感じるのは、独立論が結局は米軍普天間飛行場の県内移設反対論に収まっていくからだ。独立とは「米軍基地を撤去させる」という特定の政治的目的を達成するスローガンでしかないのである。

 琉球民族独立総合学会の松島共同代表は石垣市出身で、私は2年前、里帰りした松島氏に取材した。「独立論を提唱するようになったのはいつからか」と尋ねると、松島氏は「鳩山政権が普天間飛行場の県外移設を公約したが、日本全国にどこも引き受けるところはなかった。日米安保の利益だけ得て、犠牲は沖縄に押しつける。沖縄差別が顕著になった。このまま日本に頼っては、基地問題や沖縄差別は解決できないと感じた」と、米軍基地問題が直接的なきっかけになったことを認めた。

 松島氏は「尖閣は歴史的に琉球のものだと思う。しかし所有権を主張すると戦争になる。争いを棚上げし、共有の海や島々にすべきだ」と述べ、尖閣を関係国の共有地とするよう主張した。

 独立論者は中国の存在をどう見ているのだろうか。2月11日付琉球新報の連載記事では「事情に詳しい複数の研究者によると『沖縄は中国の領土』という認識は(仲新城補:中国には)ほとんどなく、沖縄の自主的な決定権を尊重すべきだという論調が大勢を占めているという」とお茶を濁しており、脅威という認識がまるでない。

 独立論とは、尖閣奪取を狙う中国を利し、尖閣を先祖から受け継いできた石垣市民を背後からやにわに刺すような思想である。誰より石垣市民こそ独立論に対する抗議の声を上げるべきだろう。

 しかし独立への憧憬を隠さないのは、マスコミだけではない。沖縄では少なからぬ政治家も「シンパ」である可能性が高い。

 例えば沖縄選出の糸数慶子参院議員は昨年8月、スイスのジュネーブで開かれた国連人種差別撤廃委員会に琉球王国時代の衣装で出席し、普天間飛行場の県内移設中止を訴えた。照屋寛徳衆院議員も独立論への共感を公言している。

 聞いたところでは、沖縄のある有名な政治家は、私的な会合で「米軍基地が撤去できないなら沖縄は独立すべきだ」と息巻いた。「独立後の経済基盤はどうするのか」と問われると「お金なら中国が出してくれる」と答え、その場にいた人を唖然とさせたという。この人物はバリバリの現役で、沖縄のご意見番として活躍している。危惧すべきは一般県民よりむしろ、沖縄のオピニオンリーダーに広がる「汚染」だろう。

 県民に独立への願望がまったくなくても、マスコミや政治家がこの調子だと、県内外どころか国内外に誤解が広がってもおかしくない。