2020年02月18日 11:26 公開

イギリスの首相官邸は17日、過去に人種差別的な発言をしていたと非難されたアンドリュー・サビスキー首相顧問が辞任したと発表した。

サビスキー氏は2014年、ドミニク・カミングス氏のブログなどに差別的な書き込みを繰り返していたとされ、最大野党・労働党がその辞任を求めていた。カミングス氏はボリス・ジョンソン英首相の最側近で上級顧問。今年初めにカミングス氏が、首相官邸は「はみ出し者や変わり者」を採用すると表明した後、サビスキー氏は顧問に採用された。

「アンドリュー・サビスキー」を名乗る人物はさまざまなブログに、黒人の平均知能指数は白人より低く、避妊を強制すれば「固定された底辺階級を作らず」に済むなどと書き込んでいたという。

サビスキー氏はツイッターで、「自分は政府を支えたいと思っていた。迷惑をかけるのではなく。(中略)そのため辞任することにした」と書いた。「これで大勢ががっかりするのは分かっているが、自分は本物の仕事をするために参加した。巨大な人格否定工作の対象になるのではなく」とつけたし、「まともに仕事ができないなら意味がない。自分の人生、やることはほかにたくさんある」とも述べた。

サビスキー氏のものとされる過去の書き込みが浮上した当初、首相官邸はコメントせず、ジョンソン首相の報道官は「さまざまな内容について首相の意見は広く知られており、記録されている」と述べていた。

サビスキー氏辞任の発表を受けて労働党のイアン・レイヴァリー委員長は、「アンドリュー・サビスキーがもはや政府で働かなくなったのは、正しいことだ」とコメントした。さらに、「しかし首相官邸は今日いったん公に、(サビスキー氏を)支持した。それだけに、ボリス・ジョンソンはなぜ彼が採用されたのか、そして彼のおぞましい考えに同調するのか、重大な疑問に答えなくてはならない」と主張した。

サビスキー氏の主張は

「アンドリュー・サビスキー」を名乗る人物は2014年にカミングス氏のブログに、「想定外の妊娠が固定された底辺階級を作ってしまう問題を回避する方法のひとつとして、思春期が始まると同時に普遍的な長期的避妊の強制を合法化することがある」、「予防接種法がその前例になると思う」などと書いていた。

同年には別のブログで、同じ人物と思われる投稿者が、アフリカ系アメリカ人の平均知能指数はアメリカの白人よりも低いと書いていた。

さらに同年には別のブログで、サビスキー氏を名乗る人物が、「本当に実際に人種によって知能が異なるのは、そのほとんどが、遺伝に由来することだと言えるしっかりした理由がある。それがどの程度影響するのかはもちろん、学術的に議論すべき重大な問題だ」と書いていた。

サビスキー氏は2016年7月には教育関係サイトの記事で、致命的な副作用のある「認知機能改善薬」と呼ばれるものについて、その利点を評価し、「1年に1人、子どもが死んでもその価値は多分ある」と述べていた。

このインタビューで同氏はさらに、「優生学とは長所を選ぶためのものだ」と発言。「知能は遺伝によるところが大きく、高い知能は健康や収入、精神病になる確率が低いなど、より良い人生に相関する」と主張していた。

また2019年にはツイッターで、「自分はいつもはっきりこう言う。女性のスポーツは男性のスポーツよりパラリンピックに近いと」と書いていた。

発言への反応は

サビスキー氏のこうした発言や、政府の当初の反応には、野党だけでなく与党・保守党からも批判の声が上がった。

野党・自由民主党のエド・デイヴィー党首代行は政府を、「国民的な恥さらし」と罵倒した。

スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相は、「このような記事見出しが政府について出てくるなど、どの党の政府だろうとまったく容認できない」と非難した。

与党の保守党からも、ウィリアム・ウラッグ下院議員がツイッターで、「アンドリュー・サビスキーが首相官邸にいると、政府の評判を落としてしまう(中略)『変わり者』や『はみ出し者』は結構だが、好き勝手に誰彼となく侮辱して回るのは、頼むからやめていただきたい」と書いた。

(英語記事 Andrew Sabisky: No 10 adviser resigns over alleged race comments