高橋暁子(ITジャーナリスト)

 香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例」(仮称)をめぐって、議論が紛糾している。4月の施行を目指しており、制定されれば全国初だが、パブリックコメント(意見公募)などでは反対意見が多く寄せられたようだ。

 県の条例案は、コンピューターゲームの利用時間制限が盛り込まれたものだ。第18条の2には、18歳未満の使用時間の上限が、平日は1日60分、休日は90分。ゲームの終了時間帯は、中学生以下は午後9時まで、高校生以下は午後10時までを基準としている。ただし、あくまで努力義務であり、罰則規定などはない。

 本稿では条例案の意図や、条例に対する意見の実態とともに、目的を実現するために、われわれができることまでを考えてみたい。

 県の公式サイトでは、条例案に対して寄せられた「県民の声」と回答が複数公開されている。寄せられた提言は、「自由権の侵害」「時代に逆行」「ゲームしても依存になると思えない」「悪影響という根拠がない」など、条例に対して異を唱えたり、抗議したりするものばかりだ。

 とりわけ「県が決めることではなく、家庭の問題」という意見は、インターネット上でも多く見かけた。ただし、賛成意見はあえて送らないことが多いため、これだけで反対の方が多いと言えるわけではないだろう。

 県の回答は、憲法の理念には反していないこと、子供が睡眠時間を確保し、規則正しい生活習慣を身に着けることが目的ということ、IT教育の重要性は理解していることなどを述べたものとなっている。
子供がインターネットなどの依存症になるのを防ぐ条例の制定に向け議論する香川県議会の検討委員会=2019年11月、高松市
子供がインターネットなどの依存症になるのを防ぐ条例の制定に向け議論する香川県議会の検討委員会=2019年11月、高松市
 「平日は60分まで」という具体的な制限時間にも反発が多かったようだ。これは、国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)による2019年11月の調査や、香川県教育委員会が2018年度に実施した調査結果を踏まえた基準値だという。学業成績の低下が顕著になる平日のゲーム使用時間と、児童生徒の平均正答率が低い傾向が出るスマートフォンなどの使用時間がともに1時間超だったからだ。

 ただ、あくまで基準として規定されたものというが、60分を越えるとネガティブな影響が出るためということであれば、利用時間を短くしたいという意図が強く表れていると言えそうだ。