2020年02月18日 13:18 公開

新型コロナウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では、乗客乗員の船内での隔離が続いている。こうした中、英外務省はイギリス人の乗客について、空路での帰国を含む「あらゆる選択肢の検討」を進めている。

乗客乗員約3700人を乗せた「ダイヤモンド・プリンセス」は、新型ウイルスに感染していた香港の男性(80)が乗船していたことが判明し、今月3日から横浜での停泊を余儀なくされている。

船内にいるイギリス人の乗客乗員74人の一部からは、他の国はそれぞれの市民を空路で帰国させているのに、自分たちは存在が「忘れ去られている」ようだとの声が上がった。

こうした中、英政府は、新型ウイルスに感染している疑いのある帰国者を隔離するために、ロンドン・ヒースロー国際空港にあるホテルの全客室を押さえている。

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クルーズ船で新たに99人が感染

横浜に停泊するクルーズ船での集団感染は、中国国外の感染としては最大規模。

日本の厚生労働省は17日、クルーズ船で新たに99人の感染が確認されたと発表。船内での感染者は合わせて454人に上った。

これにより、乗客乗員は、当初、隔離措置が解除されることになっていた2月19日以降も船内にとどまる可能性が出てきた。

「健康と安全のための選択肢を検討」

英首相官邸の報道官は、「我々は、この非常に厳しい状況の中で捕らわれている、すべての人々を気の毒に思っている。(中略)外務省は、今後飛ばすかもしれない帰還便に乗る意向があるかをはっきりさせるため、ダイヤモンド・プリンセス船内にいるすべてのイギリス人と連絡を取っている」と述べた。

報道官はまた、英政府は「船内にいる人々の健康と安全を保証するためのあらゆる選択肢について、緊急に検討」していると明かした。

「忘れ去られている」

英政府の発表に先立ち、イギリス人の乗客デイヴィッド・アベル氏は、「私たちの存在が忘れ去られているようだ」と述べ、船内にいるイギリス国民を退避させるよう英政府に求めた。

アベル氏の息子スティーヴ氏は、ユーチューブにメッセージを投稿。自分の両親が「ストレス」や、28日間も船内にいるという「監禁」の影響を受け始めていると書いた。

「私は、お母さんとお父さんが朝目覚めた時に、何か情報が届けられることを望んでいる。両親には、連絡を入れてもらうことが必要だ」

空港近くのホテルに隔離か

英政府は、新型ウイルスによる病気「COVID-19」の症状が出ている乗客を隔離するため、ホリデイイン・ロンドン・ヒースロー・エリアル・ホテルの全客室を押さえている。

ホテルの客室は、ウイルス検査の結果を待つ間、使用されるという。

この措置について、BBCのヒュー・ピム健康担当編集長は、感染の影響を最も受けている国々からイギリスに入国する外国籍の人々に対して、主に適用されるとみられるとしている。

英国内にいる中国人のビザを延長

こうした中、英政府は、同国内にいる中国国籍の人で、ビザの有効期限が間もなく切れる人については、自動的に滞在期間を延長すると発表した。

英内務省は、新型ウイルスのアウトブレイク(大流行)後の渡航制限により、一部の人が、自分のビザをめぐる不安に直面している可能性があることを認識していると述べた。

中国国籍の人に向けた新ガイダンスによると、1月24日から3月30日までの間にビザの有効期限が切れる場合、3月31日まで自動的に延長されるという。

複数航空会社は中国行きのフライトを停止している。英外務省は1月末に更新したガイダンスの中で、中国大陸への渡航について、「必要不可欠なもの以外はすべて控える」よう指示している。

「とてつもないプレッシャー」

英国内で新型ウイルス検査を受けた人の数は急増している。16日だけで、新たに1392人が検査を受けた。

グリニッジ標準時間17日午後2時の時点で、合わせて4501人の検査が行われている。このうち9人が陽性だった。

国民保健サービス(NHS)幹部は、同国の保健サービスで対処できると考えていると述べた。

病院やほかの企業連合を代表する、NHS連合の最高責任者ニール・ディクソン氏は、「この保健制度はとてつもないプレッシャーを受けている」が、NHSは「あらゆる種類の緊急事態への対処には非常に慣れている」と述べた。

ディクソン氏はBBCラジオ4の番組「トゥデイ」に対し、「事態が悪化したときのために、不測の事態を想定したプランが複数ある」と述べた。

イギリス国内で感染が確認された8人は、2度の検査で陰性結果が出たことから退院した。

NHSイングランドは15日、新型ウイルスのアウトブレイクの発生源となった中国・武漢からイギリスに帰国後、ウィラル半島にあるアロウ・パーク病院で隔離されていた94人について、全員が解放されたと発表した。

この94人よりも後に、退避便で帰国した100人以上については、ミルトンキーンズで隔離が続いている。

「学校閉鎖は不要」

一方で、学校側は、新型ウイルス陽性ではなく感染の疑いがあるケースしかない場合、学校を閉鎖したり、学校スタッフあるいは生徒を自宅へと返す必要はないとの指示を受けている。

ブライトンの複数の学校は、新型ウイルスを懸念する保護者に対し、感染の疑いがあるだけの場合でも、子供を学校に近づけないという判断をしてもいいとし、その場合は公欠扱いにすると伝えた。これを受けて、イングランド公衆衛生局(PHE)から、こうした指示が通知された。

ウイルス検査の結果が陽性の場合には、健康保護チームが学校長と話をし、対応措置を講じるという。

また、感染が確認された人物と濃厚接触した人については、自主隔離するよう引き続き求めていくとしている。

PHEは、ブライトン、ホヴ、イーストボーンの少なくとも7校に対し、学校スタッフあるいは生徒について、14日間自宅で待機すべきだと指示したとみられる。

中国での死者は1770人超

中国が17日朝に発表したデータによると、中国大陸での新型コロナウイルスによる死者は16日時点で105人増え、1770人に達した。

中国当局はまた、1日あたりの感染者数について、3日連続で減少傾向にあったが、その後わずかに増加していると発表。感染者は新たに2048人(このうち湖北省内では1933人)確認され、中国全土での感染者は合わせて7万500人以上に上った。

新型ウイルスによる症状や、感染拡大を防ぐ方法は?

新型コロナウイルス感染の主な症状は、発熱(高熱)やせきのほか、息切れ、呼吸困難など。

せっけんなどで頻繁に手を洗い、体調が悪い人との濃厚接触を避け、目や鼻、口を洗っていない手で触らないようにすることが、感染リスクの軽減につながる。

せきやくしゃみをする時はティッシュで覆い、ティッシュを捨てて手を洗うことで感染を拡大させる可能性を最小限にすることができる。

(英語記事 Rescue plan 'considered' for virus cruise Britons