2020年02月19日 12:21 公開

横浜港で19日午前、大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で隔離されていた乗客のうち、新型コロナウイルス感染が確認されなかった約500人の下船が始まった。多くの乗客は今月5日から14日間の健康観察期間が19日で終了した。

「ダイヤモンド・プリンセス」では新型コロナウイルス(COVID-19)に乗客乗員542人が感染した。中国大陸の外では最多の集団感染となった。

今回下船が許可された乗客は、ウイルス検査で感染が確認されず、症状の出ていない人たち。日本メディアによると、対象者全員が下船し終わるのは21日の見通し。ただし、検査で陽性となった人と同室にいた人たちは検査で陰性となっても、健康観察期間の終了日が延びるため、隔離期間が続く。

横浜港で取材するBBCのローラ・ビッカー記者によると、ダイヤモンド・プリンセスを降りた乗客たちはそのまま、待機していたバスやタクシーに乗ってその場を離れた。

ダイヤモンド・プリンセスの乗客の出身地は50カ国以上で、世界的な感染拡大の発生源になる懸念が出ていると、ビッカー記者は指摘する。

日本当局は18日には、船内で新たに88人の感染が確認されたと発表。これによって確認された船内の感染者数は542人になった。

アメリカをはじめ複数の国はすでに、船内の自国民を政府チャーター機で帰国させたり、数日中に帰国させたりする予定。

新型コロナウイルス大流行の中心地となった中国では、19日までに2004人が死亡した。

感染が確認された人の数は中国大陸で7万4185人に達し、それ以外の国・地域では700例以上が確認されている。

香港政府は19日、感染していた70歳男性が死亡したと発表した。香港での死者は2人目。中国大陸以外ではほかに、フランス、日本、フィリピン、台湾でそれぞれ1人死亡している。

船内の感染対策を批判する専門家も

ダイヤモンド・プリンセスから香港で降りた乗客の感染が確認された後、船は今月5日から横浜港で隔離状態に入った。

乗客は当初、それぞれの客室内にとどまることを余儀なくされ、後に時間などを制限した状態でデッキに出ることが認められた。

5日から2週間の観察期間で乗客乗員3711人のうち感染者が542人に達したことから、船内の感染対策を疑問視する専門家の声も出ている。

神戸大学医学研究科感染症内科の岩田健太郎教授は18日、ダイヤモンド・プリンセスに同日に乗船して見た状況についてYouTubeに投稿したビデオで報告した。岩田教授は、ウイルスがまったくない安全区域(グリーンゾーン)とウイルスがいるかもしれない区域(レッドゾーン)を、船内で明確に区別していないと指摘。「感染対策は悲惨な状態」だと批判している。

岩田教授はさらに、エボラ出血熱や重症急性呼吸器症候群(SARS)の大流行の最中に現場にいた時よりも、客船内の方が怖かったと述べた。

この動画について教授は20日朝、ツイッターで「動画は削除しました」と報告したが、同日にはビデオ経由で東京の日本外国特派員協会で記者会見し、船内の感染対策の不備を重ねて指摘した。

一方で、日本の当局者は自分たちの対応は適切だったと反論。感染例の大半は隔離期間の前に起きたものだろうと説明している。また、船内のゾーン区分はできているなど、岩田教授に異を唱える声も出ている。

アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスの各国政府は、ダイヤモンド・プリンセスから政府チャーター機などで帰国した人たちに対して、さらに14日間の隔離措置をとる。

韓国は、自国民以外はダイヤモンド・プリンセスの乗客の入国を禁止する方針を示している。

(英語記事 Coronavirus: First passengers disembark from Diamond Princess in Japan