2020年02月20日 11:29 公開

告発サイト「ウィキリークス」共同創設者ジュリアン・アサンジ被告の弁護人は19日、ドナルド・トランプ米大統領から同被告に恩赦の提案があったと述べた。2016年米大統領選の期間中に起きた米民主党のメール流出について、ロシアの関与はなかったと同被告が表明することが条件だったという。

アサンジ氏の勅選弁護士エドワード・フィッツジェラルド氏が、身柄引き渡しの審理が24日に始まるのを前に、ロンドンのウエストミンスター治安判事裁判所で明らかにした。

提案は、米共和党の元下院議員デイナ・ローラバッカー氏が持ちかけたという。


一方、ローラバッカー氏は、そうした提案はしていないと主張。「トランプ大統領とジュリアン・アサンジについて話をしたことは一切ない。同様に、トランプや関係者の誰からもジュリアン・アサンジに会うよう命じられてもいない」との声明を出した。

コンピューターへの侵入など18件の罪状に問われているアサンジ氏は、昨年4月に身を寄せていたロンドンのエクアドル大使館から強制退去された後、保釈の条件に違反した罪で禁錮50週間の刑に服した。

その後、昨年9月以降はロンドンのベルマーシュ刑務所で再勾留されている。

ホワイトハウスは、弁護人の説明は「完全なでっち上げで、まったくのうそ」としている。

弁護人は証拠があると主張

フィッツジェラルド勅選弁護士は裁判所に対し、ローラバッカー氏から提案を受けた証拠があると述べた。

フィッツジェラルド氏は、アサンジ被告の別の弁護人ジェニファー・ロビンソン氏の声明について言及。その声明には、「ローラバッカー氏がアサンジ氏に会って伝えた。彼は大統領の指示で恩赦または何らかの脱出法を提案していた。もしアサンジ氏が(中略)民主党の流出にロシアは無関係だと述べたらとして」とあったとした。

ヴァネッサ・バレイツァー裁判官は、これを証拠として採用すると決定した。

ローラバッカー氏は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領への支持を公言していることで知られる。2017年8月には、アサンジ被告が身を寄せていたロンドンのエクアドル大使館を訪ねたと、自ら述べている。

ローラバッカー氏は19日、自らの意思で事実調査のために行動したと説明。

アサンジ被告には、民主党本部のメールを誰が渡したのかの証拠を提供するなら、大統領に恩赦を求めると伝えたとした。

ホワイトハウスは否定

ホワイトハウスのステファニー・グリシャム報道官は、「大統領はデイナ・ローラバッカーについて、元下院議員ということ以外はほとんど知らない。彼とこの問題で話をしたことは一度もないし、どんな問題についてもほぼない」、「完全なでっち上げで、まったくのうそ」と述べた。

トランプ氏は以前、ローラバッカー氏を「仕事熱心で誰からも尊敬される」「偉大な下院議員」と称賛していた。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは2017年、ローラバッカー氏について、アサンジ被告に恩赦が与えられるように、ホワイトハウスに連絡を取ったと報じた。

同紙によると、ローラバッカー氏の条件では、2016年米大統領選期間中にハッキングされたメールをウィキリークスが公表した件で、ロシアが情報源ではないとする「証拠」を提供するよう、アサンジ被告は求められたという。

米司法省は2018年、ロシア情報当局の12人が大統領選の結果に影響を及ぼす目的で、民主党本部とヒラリー・クリントン氏の選挙対策本部からハッキングによってメールを入手したとして起訴した。

アメリカが引き渡しを要求

ウィキリークスは2016年大統領選を前に、民主党にとって不名誉な詳細を含んだ流出メールを公開。同党のヒラリー・クリントン候補(当時)に打撃を与えたとされる。

アサンジ被告はこれまで、ロシア政府からメールを受け取ってはいないと主張。しかしアメリカでは、ロシア情報当局者がメールを流出させたとして起訴されている。

アサンジ被告は、メール流出事件の前に外交文書を流出させたなどとして、アメリカで18の罪状に問われ、身柄の引渡し請求に直面している。

有罪判決を受けた場合、最長175年の禁錮刑となる。

(英語記事 Ex-lawmaker denies Trump pardon offer to Assange