2020年02月21日 13:03 公開

ドイツ西部ヘッセン州ハーナウのシーシャ(水たばこ)バーで9人が死亡した銃撃事件について、容疑者に「根深い人種差別的な思想」があったことが明らかになった。

ペーター・フランク連邦検察官によると、トビアス・R容疑者(43)はインターネット上に人種差別的な投稿を行っていた。また、陰謀論に影響を受けていたという。

検察は現在、他に犯行を知っていた、あるいは手伝った人物がいないか捜査している。

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事件は19日午後10時(日本時間20日午前6時)ごろに発生。犠牲者は全員「移民の背景」を持っていた。また、6人が負傷し、うち1人が重傷だという。

トビアス・R容疑者はその後、自宅で72歳の母親と共に死んでいるのが発見された。銃は容疑者のそばで発見された。

検察は現在、容疑者がドイツ国内や海外に何らかのつながりを形成していなかったか調べている。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相はこの事件について、「人種差別は毒だ。私たちの社会に存在し、たくさんの犯罪の原因となっている」と語った。

同国では20日夜、ハーナウをはじめとする諸都市で追悼集会が行われ、数千人が参加した。

トルコ政府は、犠牲者のうち少なくとも5人がトルコ国民だと発表。レジェプ・タイイップ・エルドアン大統領はドイツに対し、事件の全容解明を訴えた。

事件のあらましは

最初の銃撃は、ハーナウ中心部にあるシーシャ(水たばこ)バー「ミッドナイト」で発生。容疑者はその後、ケッセルシュタット方面へ車で移動し、別のシーシャ・バー「アレナ・バー&カフェ」でも発砲した。

水たばこが吸えるシーシャ・バーは元々、中東やアジア諸国で始まったものだが、世界各国で人気を集めている。


警察は目撃者の情報や監視カメラの映像などから犯人を特定。7時間にわたって犯人を追跡したほか、犯人が複数いる可能性も考慮した捜索も行った。

フランク検察官によると、亡くなった9人は21歳から44歳。ドイツ人も外国人もいたが、中にはクルド系の住民が含まれていた。

また、ボスニアとブルガリアの外務省は、それぞれ国民1人が犠牲になったと発表した。

容疑者について

フランク検察官は、トビアス・R容疑者は自身のウェブサイトに動画やマニフェストのようなものを掲載していたと説明した。

AFP通信によると、このマニフェストには、トルコやイスラエルなど20カ国から来た外国人は「破壊されるべきだ」と書かれていたという。

ロンドンを拠点とする対テロ専門家のペーター・ノイマン氏は、容疑者の文章には「さまざまな要素があるが、大半はインターネット上で見つけられる極右的な視点と『自分でやれ』精神の抱き合わせだ」と指摘した。

「パターンは明白だが、目新しいものではない」

メルケル首相は、「容疑者が右翼の過激派で、人種差別的な同機で、出身地や宗教、見た目の違う人たちへのヘイト(憎悪)によって事件を起こしたことを示すものが沢山出てきている」と話した。

一方、ヘッセン州のペーター・ボイス内相は、この容疑者は当局に知られていなかった人物だったと明らかにしている。

こうした中、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の共同党首は、今回の銃撃は「右翼でも左翼でもなく」、「狂人」による犯行だと述べた。

ドイツの政界では、AfDの反イスラムおよび反移民主義が外国人に対する憎悪を拡大させているとの非難が出ている。

(英語記事 Police probe whether racist German killer had help