中宮崇(サヨクウオッチャー)

 韓国映画『パラサイト 半地下の家族』は『ジョーカー』からアカデミー賞作品賞を「万引き」したとは、言い過ぎであろうか。いずれにせよ、『ジョーカー』が同時ノミネートされたおかげで『パラサイト』が受賞に至ったのは間違いないというのが私の結論である。

 『パラサイト』はタイトルの通り、ある韓国人一家が寄生虫のように他人にタカって生きる物語だ。日本人拉致や慰安婦、在韓米軍基地費用負担問題など、南北そろって日本やアメリカへの外交的「タカり」が頻繁に問題となる国家だが、タカりは韓国、北朝鮮の人々にとって「常識」なのだ。

 先の朴槿恵(パク・クネ)政権を含め、歴代政権における汚職事件、政権交代後の毎度おなじみ逮捕収監騒ぎでも見られるように、韓国においては成功者に一族郎党が一斉にタカるのが当たり前であり、そうした便宜を図らない者は非難されてきた。それは権力者だけでなく、上から下までいわば伝統なのだ。

 『パラサイト』はまさに、そうしたタカり社会で落ちこぼれて貧しい半地下室生活を送っていた一家が、友人のコネを悪用して富裕な一家に潜り込み、息を吐くように嘘をつき、騙し、盗み、タカりまくるという話である。

 立て続けに国際条約さえ平気で破る韓国人の姿勢は、息を吐くように嘘をつく、と言われて久しいが、実はこうした認識はわれわれ日本人が抱いているだけのものではない。最も嫌っているのは、韓国や北朝鮮の自国民だ。

 それは南北対立に伴う「韓国は北朝鮮を憎んでいる」という類(たぐい)だけの話にとどまらない。要するに韓国人は同胞を最も嫌っているのだ。それは韓国人が日本人に対する「反日感情」と称するヘイトなどとは比較にならないほどの深刻さである。ゆえに、韓国にうんざりし「国外脱出」を希望する韓国人は「日本を脱出したがる日本人」の割合とは比べ物にならない。

 実際、韓国紙「中央日報」は2018年11月に「今年の韓国籍放棄者、10月までで3万人突破」と報じ、ネットには「韓国人の半数超が『移民夢見たことある』、一番人気の国は?」という記事もある。

 そのような韓国人にとっては、周りは家族友人以外全て敵である。いつ騙され盗まれるか分からないし、逆に同胞は必要とあればいつ騙し盗んでもよい「狩りの獲物」なのだ。

 物語の冒頭、キム一家の長男で高卒の無職のギウは「親友」から家庭教師の仕事を譲り受ける。ここでまず、「偽証社会」として名高い韓国らしく、「自分は優秀な大学生である」と嘘をついて潜り込む。そのためにご丁寧にも学生証や書類まで偽造する。しかも「親友」から「お前なら信用できるから」と言われて託された家庭教師先パク家の女子高生(実は「親友」の恋人)を、なんのためらいもなく奪う。
映画『パラサイト』の一場面(ⓒ 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED)
映画『パラサイト』の一場面(ⓒ 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED)
 そこから先はもう、悪知恵のオンパレードだ。犯罪も含めたあらゆる悪逆な企てでパク家の家政婦や運転手ら使用人を次々と陥れて追い出し、代わりに自分たちの一家を潜り込ませる。そこにはなんのためらいも良心の呵責もない。