『パラサイト』同様、格差社会を描いた是枝裕和監督の『万引き家族』がカンヌ国際映画祭で最高賞であるパルム・ドールを獲得した際、日本国内からは「日本人はあのように平気で万引きしたりしない」との抗議が多く寄せられた。

 しかし、『パラサイト』に対し韓国国内でそのような抗議の動きがあったとはほとんど聞かない。多くの韓国人が見ても、まさにこれこそが典型的韓国人の姿なのだと納得しているということなのだろう。

 貧者のキム一家に、タカられる富裕層のパク一家も、単純に被害者とはとても言えない。経済的成功に驕り高ぶり、キム一家をはじめとする貧者を平気で「くさい」などと差別してはばからない。

 また、「結核」患者を差別してクビにするえげつない描写も存在する。韓国における障害者らへの差別は有名であるが、そうした韓国社会への批判としての一面もあるのだろう(「この5年間の障害児の養子縁組、国内135人―海外3428人」中央日報、2009年5月11日)

 繰り返しになるが、この映画は「家族友人以外は信頼できず周りは全て敵で、貧困層も富裕層も平気でお互い盗み合い騙し合い差別し合うどうしようもない韓国格差社会を告発した」作品である。だが、そこにはポン・ジュノ監督の韓国社会に対する悪意と偏見が満ちあふれているともいえる。

 確かに韓国は「偽証社会」であることや、障害者らへの偏見が強いといった、他に類をみない欠点を多分に含む社会ではある。だが、一方で、諸外国に誇れる美点をも持つ社会でもある。なのにポン・ジュノ監督は、そのことからあからさまに目を背けている。

 日本国内の「サヨク・リベラル」などを詐称する反日勢力にも、そのように日本の欠点のみを誇大にわめき散らし世界中にフェイクニュースを流す連中が存在する。ポン・ジュノ監督も、韓国にとってのそうした手合なのだろう。

 実際、韓国では大韓航空が「特定の国や民族をおとしめる」「韓国のネガティブなイメージを与える内容」だとして機内上映を禁止する措置をとった(韓国航空会社が映画「パラサイト」の機内放映せず、その理由は…―韓国メディア)。
映画『パラサイト』の一場面(ⓒ 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED)
映画『パラサイト』の一場面(ⓒ 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED)
 自国の「欠点」を告発する映画でも、例えば韓国軍による市民大虐殺「光州事件」を描いた『タクシー運転手 約束は海を越えて』は『パラサイト』同様、韓国人の差別根性、あさましさ、平気で息を吐くように嘘をつく偽証社会体質などを告発しているが、韓国人の気の良さや温かさ、義侠心、同胞愛などもピックアップした傑作である。

 これは先に触れた日本映画の『万引き家族』も同様だ。確かに日本社会の冷たさや無理解といった闇の部分を批判しているが、一方で家族以外の地域社会の温かさもきちんと無視せず盛り込んでいる。

 思い返してみればポン・ジュノ監督の過去作品は全てそうした韓国人に対する歪んだ世界観に満ちている。彼にとって「一見善良そうに見えても韓国人は家族友人以外全部敵で、お互い平気で嘘を付き、盗み、人を殺す」という内容のものばかりだ。