2020年02月25日 11:32 公開

新型コロナウイルスの感染拡大による経済失速への懸念が高まるなか、24日から25日にかけて世界各地の市場で株価が急落した。

東京株式市場は25日、日経平均株価が取引開始直後から大きく値下がりし、前週末終値から一時1000円超下落した。日経平均が1000円超値下がりするのは、2018年12月25日以来。午前終値は、前週末比700円13銭安の2万2686円61銭だった。

トヨタ自動車やユニクロの親会社ファーストリテイリングなど、中国の工場稼動停止に揺れる世界的サプライチェーンに大きく依存する企業を中心に、株価を下げた。

これに先立ち24日の米ニューヨーク株式市場でも、2018年以来の下げ幅を記録。優良株で構成するダウ工業株30種平均は前週末比で1031.61ドル(3.56%)安い2万7960.80ドルの終値をつけた。下げ幅は2018年2月以来、約2年ぶりの大きさ。S&P総合500種は3.3%安で取引を終え、ナスダック総合は3.7%下がった。

ロンドンではFTSE100種総合株価指数が、3.3%安で取引を終え、2016年1月以来の下げ幅を記録した。

欧州においてはイタリアで24日までに感染者は200人を超え、死者も6人に増えるなど、深刻な事態となっている。その中でミラノの株式市場は6%近く急落した。

昨年末に最初に感染が報告された中国ではこれまでに、約7万7000人が感染し、2600人近くが死亡した。中国以外では約30カ国で1200人以上の感染が確認された。最近ではイラン、韓国、イタリアで感染者の急増が報告されている。


英投資会社AJベルの投資ディレクター、ラス・モウルド氏は、「中国経済は大きな打撃を受けているし、世界中のサプライチェーンに混乱が生じている様子が明らかだったのに、ここ数週間というもの多くの投資家はあまりにゆったり構えていた」と指摘する。

「市場は当初、1月に少し動揺したもののすぐに回復した。コロナウイルスが企業収益にとって深刻な脅威ではないと、投資家たちは捉えていたということだ。しかし今となっては状況判断を再検討しているかもしれない」

アメリカでは、ダウとS&P500の下落によって過去1年分の上げが帳消しになった。なかでも中国での取引が大きい割合を占めるナイキ、アップル、ウォルト・ディズニーなどが、特に打撃を受けた。

旅行業界への影響も続き、イギリスではFTSE100で最も大きく値を下げたのは、16.7%安となった格安航空会社イージージェットだった。旅行大手TUIや、ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)を所有すうrIAGも共に終値で9%超下げた。


株価の下落とは対照的に、金は24日、2%超値上がりし、過去7年来の最高値を一時更新した。年初から10%超も値上がりを続けている金について、アナリストの多くは近くオンスあたり1700ドルの大台に乗るかもしれないと見ている。

「ついに本格的に、金に勢いがついた」。オンライン取引プラットフォームを提供するオアンダの上級市場アナリスト、ジェフリー・ハリー氏はこう言う。

一方で原油先物は24日、約4%下落。ウイルスによる工場の一時稼動停止による需要減を、投資家の多くが懸念している。北海ブレント原油は2ドル超下げて1バレル=55.55ドルをつけた。

供給への懸念

これまでにも複数の企業が、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うサプライチェーンへの影響や、経済活動全般の悪影響への懸念を警告していた。

衣料品小売プライマークを所有する英アソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズ(ABF)は24日、中国国内でウイルスによる事業所閉鎖が長引き、工場稼動に遅れが出れば、一部の商品ラインが不足する可能性を指摘した。

中国商務部の広報官によると、ウイルスの感染拡大を抑制しようと政府当局が旧正月の休暇を延長したが、その後も3割の中小企業しか操業を再開できない状態だという。交通機関の問題で、労働者の移動が妨げられ、原材料の輸送にも影響が出ているという。

中国では、中小企業の工業総生産額は企業全体の約60%を占める。


<解説> サミラ・フセイン、ニューヨーク経済記者

ウォール街はびくびくしている。米金融市場の急落からそれはかなり明らかだ。

けれどもなぜ今になって?

中国その他で確認される感染者数が、増え続けていることが、その一因だろう。経済失速が世界中で今後長引くと、投資家は心配しているのだ。

ハイテク産業をけん引するアップルはすでに、iPhoneの供給不足を警告しているし、他の米企業も嫌な汗をかきはじめている。一部の投資家が懸念するほど深刻な影響が現実のものとなれば、アメリカ史上最も長続きした景気拡大に歯止めがかかる恐れがある。

そうなった場合、政治的な影響も出てくる。再選を目指すドナルド・トランプ米大統領は、絶好調の景気を自分の手柄として最大限にアピールしてきた。この主張が少しでも揺らげば、再選への道はその分だけ厳しいものになる。

(英語記事 Global stock markets plunge on coronavirus fears