2020年02月25日 12:16 公開

ハリウッドの大物映画プロデューサーで、強姦罪などに問われているハーヴィー・ワインスティーン被告(67)の刑事裁判で、米ニューヨークの裁判所の陪審は24日、有罪の評決を出した。

米映画業界の有力者の転落は、権力を背景とした男性の性的不正行為を告発する#MeToo運動にとって勝利となった。

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ワインスティーン被告は、第3級強姦罪と第1級性的犯罪行為罪で有罪が言い渡された。

一方、起訴事実の中で最も重大で、終身刑の可能性もあった2件の捕食的性的暴行罪と、第1級強姦罪については無罪とされた。

ワインスティーン被告は最長29年の禁錮刑を受ける可能性がある。量刑は3月11日に言い渡される。

同被告の弁護人は、直ちに上訴する意向を示した。


ワインスティーン被告に対しては、米女優のグウィネス・パルトロウ氏、ウマ・サーマン氏、サルマ・ハイヤック氏ら80人以上の女性が、数十年間における被害を訴えた。

同被告は「パルプ・フィクション」、「グッド・ウィル・ハンティング」、「英国王のスピーチ」、「恋におちたシェイクスピア」などの作品で多数のアカデミー賞を獲得するなど、映画界で大きな成功を納めていた。

すべてを否認

裁判所では18日から男性7人、女性5人の陪審員が評議を進め、5日目のこの日朝に評決に至った。

ワインスティーン被告はすべての罪状について否認していたが、元製作アシスタントのミミ・ヘイリー氏に2006年に性的暴行をした罪と、元女優ジェシカ・マン氏を2013年に強姦した罪で有罪となった。


裁判官は、同被告を直ちに刑務所に収監するよう命じた。

評決言い渡しの直後、ワインスティーン被告は感情を表に出さず、主任弁護人のドナ・ロテューノ氏と言葉を交わした。

第3級強姦罪とは

ニューヨーク州における第3級強姦罪の定義は、同意を示す能力のない人や17歳未満の人、能力以外の理由で同意を示さなかった人との性交となっている。

検察はワインスティーン被告について、ハリウッドにおける権力を利用して女性を操り、暴力をふるった「連続捕食犯」だと訴えた。

一方、弁護側は、ワインスティーン被告と女優たちとの性行為は同意があったと主張。告発者たちは仕事で利益を得るために関係を利用したと述べた。

また、女性たちの訴えは「後悔を強姦と言い換えている」に過ぎないとも主張。告発者のうち2人は、襲われたとされる後もワインスティーン被告と連絡を取り、セックスをしていたと指摘した。

「戦いは終わっていない」

評決の言い渡し後、弁護人のロトゥーノ氏は裁判所前で記者団に、「戦いは終わっていない」と述べ、こう続けた。

「ハーヴィーは信じられないほど強い。今回のことを男らしく受け止めた。彼は私たちが彼のために戦い続けることや、これで終わりではないことをわかっている」

ロトゥーノ氏によると、ワインスティーン被告は落胆していたが、「精神的にタフ」だったという。


ワインスティーン被告による被害を早期に訴えていた米女優ローズ・マッゴーワン氏は、BBCの番組「ニューズアワー」で、「傷つけられた時の自分、あの女の子はいま大喜びしている(中略)今日は素晴らしい日だ。ごみが取り除かれた」と述べた。

さらに、「白人女性で魅力的でいくらか経済力がある私たちさえ、彼を裁判にかけるだけでもこれだけの人数が必要だった(中略)つまり、話を聞いてもらう、ただそれだけでも、ほとんど不可能で、まして有罪判決を得るなんてほとんど無理だということ」だと話した。

ワインスティーン被告による被害を訴えている米女優アシュリー・ジャッド氏、ルシア・エヴァンス氏、ロザンナ・アーケット氏と19人の告発者たちは共同声明を発表。「実に多くの女性が、本来与えられるべき真の完全な正義を、今日の判決が与えなかったのは残念だ」とする一方、被害を訴え出たすべての女性に感謝を表明した。

事件の経緯

ワインスティーン被告をめぐっては、2017年10月の米紙ニューヨーク・タイムズの報道をきっかけに、犯罪疑惑が浮上した。

報道から間もなく米英で捜査が始まり2018年5月に起訴された。

起訴事実では、元製作アシスタントのヘイリー氏は、ワインスティーン被告にマンハッタンの自宅アパートに招かれ、暴行された。

裁判でヘイリー氏は、ワインスティーン被告に寝室に追い込まれ、ベッドで押さえられて無理やり性行為をされたと証言した。

元女優のマン氏は、ワインスティーン被告と「とても尊厳を傷つけられる」関係が続くなか、2013年にニューヨークのホテルで強姦されたと述べた。

また、同被告について、公の場では魅力的だが私的な場では暗い面を見せる「ジキルとハイド」のような人物だと話した。


裁判では、米人気ドラマ「ザ・ソプラノズ」への出演で知られる女優アナベラ・スキオラ氏も、1990年代半ばに彼女の自宅アパートでワインスティーン被告に強姦されたと証言した。

検察はスキオラ氏の訴えについて、訴追には時間がたち過ぎているとしたが、ワインスティーン被告が性的犯行を繰り返していたことを示す証言として使った。

スキオラ氏は評決の言い渡し後、「私は自分のために、ハーヴィー・ワインスティーンの80人を超える被害者の強さを胸に抱きながら語った」とコメントした。

裁判ではこのほか、3人の女性がワインスティーン被告に仕事の会合だと呼ばれ、性的暴行を受けたと証言した。

ワインスティーン被告は、ロサンゼルスでも強姦と性的暴行の罪に問われている。検察は他の事案についても調べを進めているとしている。

同被告を相手取った民事訴訟も、継続されている。2019年12月には、一部の原告たちと2500万ドル規模の暫定的な和解に達したと、同被告の弁護団が明らかにした。

(英語記事 Weinstein convicted of rape and sexual assault