2020年02月27日 14:40 公開

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、イギリスではインフルエンザに似た症状が出ている人も、新型ウイルス検査の対象に含めることになった。100カ所の一般診療所と8カ所の病院で実施される。

英公衆衛生庁のポール・コスフォード教授は、検査はウイルス感染が拡大しているかどうかの「早期警報」になるとしている。

イギリスの企業では、石油会社シェブロンが、ロンドンの従業員1人が新型ウイルスの検査を受けるなか、従業員約300人に自宅勤務を要請した

学校では、感染者が約400人に急増しているイタリアへの旅行から戻って来た子どもがいることから、休校にするところが増えている。

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イタリアは欧州で感染者が最も多い。オーストリア、クロアチア、スイスでも急増しているもようだ。

マット・ハンコック保健相は議会下院で、急速な流行に過剰反応しないことが大事だとし、さもないと「経済的かつ社会的な」損害を招きかねないと述べた。

また、国内企業に対し、自主隔離を希望する従業員には病気休暇を認めるよう指導したと話した。

英国では13人が陽性

イギリスの新型ウイルス検査はこれまで、中国や韓国、イタリアなど大流行が起きている国から帰国し、症状が見られる人だけを対象としてきた。

今後は8カ所の病院で、重症呼吸器感染症で集中治療を受けている患者も検査の対象にする。

また、100カ所の一般診療所では、咳や発熱、息切れなど軽いインフルエンザに似た症状がある人も検査対象となる。

公衆衛生庁のコスフォード教授は今回の措置について、中国本土以外の国々で新型ウイルスが広がっていることを受けての「私たちの警戒を高める」ものだと、BBCのラジオ番組で語った。

これにより、イギリスでは毎週、これまでより何百人も多くの人々が検査を受けることになる。1月に新型ウイルスの大流行が中国以外に広がって以来、イギリスでは7132人が検査を受けた。

うち陽性と判定されたのは13人。この中には、横浜港に停泊しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」を下船し帰国した4人が含まれている。

学校への影響は?

英政府がイタリアからの帰国者に対する助言を更新したのを受け、イタリア北部のスキー旅行から戻った子どもたちがいるいくつかの学校は、休校にしたり子どもを帰宅させたりしている。

一部の学校は、子どもたちに自宅で自主隔離するよう勧めるとともに、学校を3日間閉鎖して消毒や状況の監視を進めるとしている。

イングランド公衆衛生局(PHE)は、新型ウイルスの大流行がみられる地域に旅行した子どもや教職員がいる学校に「一律のアドバイス」をしているのではないとした。

旅行者への影響は?

一方、航空会社ブリティッシュ・エアウェイズは、新型コロナウイルスの発生により「需要が減少」したとして、イタリア・ミラノ行きの運航を一部中止した。

2月27日から3月11日までの、ロンドンとミラノの往復22便の運航を取り止めたとし、予約者は払い戻しを受けるか後日便の予約が可能だとした。

また、3月2日までイタリアのトリノ、ボローニャ、ヴェネチア、ベルガモ、ヴェローナの発着便を予約している人には、再予約の機会を提供しているとした。

スペイン領テネリフェ島のホテルでは、滞在していたイタリア人医師の感染が確認され、数百人の宿泊客が閉じ込められている。イギリス人も168人が滞在しているとされ、英外務省は助言や支援をしていると述べている。

スペイン領カナリア諸島の保健当局によると、数時間内には100人以上が解放されるが、その中にイギリス人が含まれているかは明らかではないという。残る約600人の宿泊客については、2週間の隔離が続けられるという。

宿泊客のロージー・ミットフォードさんはBBCの番組「ヴィクトリア・ダービシャー」で、発熱検査を受ければ地上に出ることは許可されていると述べた。

「マスクが配布され、歩き回ることはできる。だけど本当は部屋の中にいるべきだ。明らかにひどい状況だ。みんな本当にできるだけ気持ちをしっかり保とうとしている」

BBC司会者も検査を経験

BBCの番組「トゥデイ」の司会者をつとめるニック・ロビンソン氏は、ヴェトナムとカンボジアでの休暇から戻って新型ウイルスの検査を受けたときの模様を語った。

自宅で自主隔離をしながら検査結果を待っているロビンソン氏は、気分は「いい」と述べた。ただ、イギリスを出発する前に咳が出ていたことから、「声が少しかれている」と話した。

他の人に感染させるリスクを避けるため、病院での検査には、可能なら自分で車を運転して来るように指示されたという。駐車場に着くと、顔を覆い、ゴム手袋と使い捨ての前掛けを着けた看護師が出て来たという。

看護師は車の窓ガラス越しに体温や血圧、酸素飽和度を計測し、綿棒で新型ウイルス検査のための検体を採取した。

医師のセカンド・オピニオンを希望すると、またも他の患者への感染リスクを下げるという理由で、従業員用の駐車場を歩いて裏口へと案内された。

「努力のものすごさを思い知らされる。病院には2時間半以上いた」とロビンソン氏は話した。「かなりの時間がかかることだ」

世界的な状況は?

中国で発生した新型ウイルスには、8万人以上が感染している。

世界保健機関(WHO)は25日に新たに報告された感染者について、中国以外の人数(427人)が初めて、中国国内の人数(411人)を上回ったと発表した。

オーストリア、クロアチア、ギリシャ、スイス、アルジェリアでそれぞれ初の感染者が確認された。いずれもイタリアを訪問した人が関係しているという。

ブラジルでは、イタリアから帰国したばかりのブラジル人から、南アメリカで最初となる感染者が確認された。

中国以外での感染者が最も多い韓国では、感染者は26日時点で1261人に上った。


<分析>事実調査のミッション――ヒュー・ピム健康担当編集長

これは新型ウイルスが大規模に広がり始めている場合に備えた、PHEによる先制的な動きだ。

医師は現存するソフトウエアとチェックリストを利用し、特定の医療機関にやって来る、インフルエンザに似た深刻な症状をもつ患者たち(主に高齢者)を検査することになる。

目的は、新型ウイルスの感染が地域で拡大しているのか確認することだ。

実質的には、新型ウイルスの感染拡大(もしそれが起きているなら)についてデータを集め、理解を深めるための事実調査のミッションだ。


(英語記事 Hundreds of flu patients to get coronavirus tests