2020年03月02日 11:10 公開

今年11月に本選が行われる米大統領選でドナルド・トランプ米大統領と争う野党・民主党の候補を選ぶための予備選が2月29日、南部サウスカロライナ州で行われ、ジョー・バイデン前副大統領(77)が圧勝した。すでに予備選・党員集会のあった3州で苦戦が続いたバイデン氏にとって、是非とも必要だった勝利で、大きな弾みがついた形だ。

中道穏健派のバイデン氏は得票率48.4%、急進左派バーニー・サンダース上院議員(ヴァーモント州選出)は同19.9%で続いた。3位は億万長者の投資家トム・スタイヤー氏で同11.3%。初戦アイオワ州で勝ったインディアナ州サウスベンドのピート・ブタジェッジ前市長は8.2%で4位だった。

この結果を受けて3月1日、ブタジェッジ氏は撤退する見通しとなった。サウスカロライナ予備選では得票率15%以上の候補が、今年7月の党大会で候補指名に投票する代議員の割り当てを受ける。

サウスカロライナ州での勝利を受けて演説したバイデン氏は、「ほんの数日前までマスコミと評論家たちは、僕は候補としてもうおしまいだと断定していた。それが今、皆さん全員のおかげで、民主党の中心で心臓部の皆さんのおかげで、僕たちはただいま勝った、大勝した」と喜んだ。

さらにバイデン氏は、優勢のサンダース議員を名指しこそしなかったものの、「ほとんどのアメリカ人は、革命の約束など求めていない。約束以上のもの、結果を求めている」と批判した。

サンダース氏は2016年の前回選挙から、アメリカに「政治革命」をもたらすと公約している。

サウスカロライナ州に先立ち、アイオワ、ニューハンプシャー、ネヴァダ各州ですでに予備選あるいは党員集会が実施され、サンダース氏が優勢となっている。民主党主流派が期待をかけているとされるバイデン氏はこれまで苦戦が続いた。3日には14州が一斉に予備選を開く「スーパー・チューズデー」が控えているだけに、その節目を目前にバイデン氏は不可欠な勝利を得た。

バイデン氏が大統領選に臨むのは今回が3度目。以前から自分はアフリカ系アメリカ人に支持されていると強調してきた。出口調査によると、サウスカロライナ州選出で下院院内幹事の実力者、ジェイムズ・クライバーン下院議員がバイデン氏を後押ししたことが、地元の有権者に大きく影響したとみられる。

<関連記事>

スーパー・チューズデーはどうなる

米大統領選では党の候補を選ぶための予備選において、10以上の州が一斉に予備選や党員集会を開いて候補者を選ぶ「スーパー・チューズデー」が特に重要な政治日程となる。

今年の与党・共和党は再選を目指すトランプ氏が候補になると確実視されており、予備選は行っていない。これに対し野党・民主党は、14州と米領サモア、在外民主党員が一斉に投票する。全米で特に人口の多いテキサス州とカリフォルニア州も、3日に投票する。

14州での結果によって、総数3979人の党代議員のうち約3割の1357人が候補ごとに割り当てられる。その代議員たちが7月の全国党大会で正式に民主党の候補を指名する。

民主党候補に指名されるには1991人の代議員の支持が必要。

1日現在の獲得代議員数は、サンダース氏が58人、バイデン氏が53人、ブタジェッジ氏が26人、エリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州選出)が8人、エイミー・クロブシャー上院議員(ミネソタ州選出)が7人。

これに、前ニューヨーク市長の億万長者、マイケル・ブルームバーグ氏が3日から初めて予備選に参加する。

スーパー・チューズデーの結果次第で、サンダース氏がトップランナーの地位を固める可能性もあれば、形勢が一気に逆転する可能性もある。


<解説> バイデン氏はどうやって勝ったのか――アンソニー・ザーカーBBC北米担当記者

サウスカロライナ州はバイデン氏にとって、のるかそるかの最後の砦(とりで)だと言われてきた。良い結果を確保するためにバイデン陣営は、時間と人員・資金をこの州に費やしてきた。全国的に支持率が急落していたほんの数週間前には、ここでその選挙戦は終わるものとさえ見られていた。

しかし実際には、1週間の猛攻勢が奏功し、バイデン氏はここで今年初の勝利を獲得した。今年はおろか、3度目になる大統領選出馬で、バイデン氏が州予備選で勝つのは実に今回が初めてだ。

特に大きな功労者は、クライバーン下院議員と言えるだろう。この州の黒人社会で強力な影響力を持つ大物議員は2月26日に、バイデン氏支持を表明した。出口調査によると、投票した人の約半数にとって、クライバーン議員の後押しが重要な意味を持った。同議員の支援はおそらく、同州の黒人有権者の間で特に大きな意味を持ったはずだ。

今後も同じような結果が他の州でも出せるなら、バイデン氏はサンダース氏にとって大きなライバルとなる。

しかし、バイデン陣営はスーパー・チューズデーに参加する州で、あまり精力的に運動できていない。3日に投票する州での選挙CMは最近になった開始したばかりで、バイデン氏自身29日午後にノースカロライナ州を訪れた以外、ほぼ1週間、サウスカロライナ州を出ていない。

それでもバイデン氏は、サウスカロライナでの勢いを各州につなげたいと期待している。まだ期待頼み、神頼みの選挙戦ではあるが、少なくとも1カ所ではその願いが聞き入れられた。

(英語記事 South Carolina primary: Joe Biden wins decisively