海外でマネーロンダリングされた資金は、別の海外口座やタックスヘイブン(租税回避地)の口座に転送される。その後、密かに韓国に還流され、政治献金や教祖個人の目的や投資などに使われる。資金調査を行った当局者や取材に当たった記者は脅されたり、危険な目に遭わされたりした。

 韓国での報道や当局の説明でも、教会と武漢の関係について言及されることはなく、闇に包まれたままだ。韓国内では、新型コロナウイルスは「武漢にある軍の研究施設が発生源」とのインターネット情報が拡散し、多くの市民が話題にしている。

 日本には、コロナウイルス対策に失敗し、文政権が崩壊するとの期待が少なからずある。だが、韓国の政治はかなり複雑で、韓流(はんりゅう)ドラマで描かれるような陰謀劇が渦巻くため、そう簡単な話ではない。

 また、韓国の保守勢力が合流して新党を立ち上げたことへの期待も語られるが、そんなに甘くはない。左派勢力が陰謀とスキャンダルを準備しているからだ。

 なんと言っても、韓国は「和解と赦(ゆる)しの政治」ではない。保守勢力は底流に、朴槿恵前大統領に忠誠を誓う勢力と大統領弾劾に賛成した反朴槿恵勢力が感情対立を続けている。

 もし、朴前大統領が大政治家としての思想と決断力の持ち主で、獄中から「反朴派を赦す」と宣言すれば、保守は大同団結ができる。「赦し」の政治と思想を実行すれば、偉大な政治家として歴史に残るのに、言わない。恨みと怒りを抑えられないのである。

 女性政治家の限界というべきか、「嫌いであっても、政治的には協力する」という大局が見えない。だから、「韓国の未来と国民のために赦しの政治を行う」と言えず、朴前大統領を説得する長老や政治家もいない。韓国政治の伝統的な悲劇である。
2020年3月1日、ソウル市内で開かれた三・一独立運動の式典で演説する韓国の文在寅大統領(共同)
2020年3月1日、ソウル市内で開かれた三・一独立運動の式典で演説する韓国の文在寅大統領(共同)
 日韓に横たわる歴史認識問題でも分かるように、韓国には「赦し」の思想がない。聖書は「キリストがあなたの罪を赦したように、人の罪を赦しなさい」と教えるが、なぜか韓国のキリスト教には神の「赦し」の神学と信仰がない。

 「韓国のガンジー」と呼ばれた思想家の咸錫憲(ハム・ソクホン)が、国民を思う指導者や政治家の不在から、韓国民を「悲劇の民族」と呼んだのも無理からぬ話なのである。