韓国で1日に1万件以上検査できたのに、日本では1日わずか1千件以下しか検査できていないという指摘もありました。加藤勝信厚労相は記者会見で、新型コロナウイルスのPCR検査について、2月18日から1日あたり3千件以上が可能となったとしましたが、海外に比べてあまりにも少なすぎます。

 民間の検査会社には1日で数万の検査をする能力があり、医師たちは民間での検査実施を要請しているにもかかわらず、厚労省が許可しないというのです。こうなると日本政府はオリンピック利権を手放したくないために、感染者数を隠蔽しようとしているのだという噂が、がぜん真実味を帯びてきます。

 私はワイドショーの放送といえども、SNSなどのネット上の口コミよりは、はるかに情報としての価値を持つと考えています。ネット上の情報もピンからキリまでですが、残念ながら多くは十分な思慮に欠けるものでした。ネットで飛び交った噂の一例を挙げると、「コンビニの店員は中国人が多いから利用しない方がいい」というような話です。

 こんな話など、ちょっと考えればありえないと分かります。コンビニで働いているような中国の方々は皆、来日してから相当期間が経っています。少なくとも武漢から来日して14日以内の人間が、日本のコンビニ店員になる可能性は、限りなくゼロに近いでしょう。コンビニ店員という仕事は、それほど簡単ではないのです。

 「新型コロナウイルスは中国の生物兵器だ」といった説も、一時期はネット上で拡散しました。冷静に考えれば、こんな致死率の低い生物兵器では、実戦で役に立つわけがないでしょう。いずれも一部の中国人嫌いの人々が、ここぞとばかり騒いだ噂に過ぎません。他にも「中国からの郵便物は受け取るな」「中国産の食品は食べるな」など、根拠のない情報があふれかえっていました。
 
 「早くマスクを買わないと手遅れになる」といった情報が広まったのも舞台は主にネットです。店頭でマスクが売り切れになっていたのは事実ですが、噂がそれに火をつけ加速させていったのです。当然のことながらこれで一儲けしようとたくらんだ人間がマスクを買い占めました。私がアマゾンで見た時点では、マスク50枚入りが「定価2千2円、配送料2万円」で売られていました。

 とんでもない業者がいるものだと私は驚きましたが、この話にはオチがあります。「マスクを買い占めている業者は中国人だ」という説です。この業者が中国人なのか日本人なのか、私は調査していないので何とも言えませんが、悪いのはみな中国という言説は、ネット上で支持を得やすいようです。実際には中国政府は日本の国立感染症研究所に検査キットを寄贈しています。

 ちなみにマスクの着用については、NHKによると、せきなどをする感染者が着けてこそ効果がある、とのことです。ウイルスの拡散を防ぐからです。

 一方、まだ感染していない人については、感染者と直接対面する機会の多い医療関係者以外は、マスクを着用する意味はあまりないそうです。ウイルスは主に自分の手指などから、口や鼻に入ることが多いため、手洗いの方がはるかに重要なのです。その他、「トイレットペーパーがなくなる」という明らかなデマもネット上で流布され、品薄状態が続いています。
トイレットペーパーを求め、スーパーマーケットに行列を作る人々=2020年3月、大阪府東大阪市(恵守乾撮影)
トイレットペーパーを求め、スーパーマーケットに行列を作る人々=2020年3月、大阪府東大阪市(恵守乾撮影)
 ネット上の情報はピンからキリまで、と書きましたが、ネット上にしてはかなりマシだと思われる投稿もありました。大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に、災害派遣医療チーム(DMAT)の一員として2月18日に乗船した、神戸大医学部付属病院感染症内科の岩田健太郎教授がユーチューブに公開した動画です。