2020年03月03日 11:55 公開

世界保健機関(WHO)は2日、新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)の世界的流行は「未知の領域」に突入したと発表した。テドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、このウイルスは「独特」の特徴があるが、正しい措置を取れば封じ込められると話している。

COVID-19による死者は全世界で3000人を超えた。そのほとんどが中国で起きているが、ここ数日に中国以外の国で新たに確認された感染者の数は、中国国内での新規感染者数の9倍に上っている。

また、欧州で最も感染の広がっているイタリアでは、死者が52人に増加した。

ゲブレイエスス事務局長は、「ウイルスを押し返すことができる」と強調した一方で、COVID-そのものよりも感染に対する差別や偏見の方が危険だと指摘した。

<関連記事>

ゲブレイエスス事務局長は、COVID-19が世界に広まっている経路は「1つではない」としながらも、各国が封じ込めなどの施策を迅速かつ効果的に行えば、ウイルスを撲滅できると話した。

また、あらゆるアウトブレイク(大流行)に対抗できる手段は存在しないため、各国政府はそれぞれの状況を確認するべきだと指摘した。

「国ごとに独自のアプローチが必要だが、まずは封じ込めから始めなくてはならない」

その上で、新型ウイルスは「独特の特徴がある独特のウイルス」で、さらに感染が広がる可能性があるが、封じ込めには一定の効果が上がっているとの見解を示した。

アウトブレイクを抑えた国も

WHOによると現在、世界の62カ国で新型ウイルスへの感染が確認されているが、うち38カ国では患者数が10人以下にとどまっている。

ゲブレイエスス事務局長は、「さらに、8カ国ではこの2週間新たな感染者が確認されておらず、アウトブレイクを抑えられている」と説明した。中国でも抑制の効果が上がっており、人口の多い国でもこの施策は有効だという。

2日時点で世界全体の感染者数は9万人近くに上っているが、その9割が中国国内で、さらに湖北省に集中している。

中国では1日、新たに206人が感染したが、うち湖北省以外での報告はわずか8人と1月22日以降で最低を記録した。また、死者も8人増えたが、全員が湖北省で治療を受けていた。

中国保健当局の報道官は、次の段階として「企業の営業再開に伴うリスクに注力する」としている。

世界の状況は?

一方でWHOは、韓国とイタリア、イラン、日本の状況には特に懸念があると指摘している。中国国外で確認されている8800件の感染例のうち81%が、この4カ国に集中している。


韓国では4000人以上が感染し、死者は28人となった。感染者の6割以上が新興宗教団体・新天地イエス教証しの幕屋聖殿(新天地イエス教会)に関連しているという。

この宗教団体の関係者の間でウイルスが広まった後、それぞれが各地を移動したため感染が拡大したとされる。教団指導者イ・マンヒ氏(88)は2日、記者会見で土下座して、「政府は国民に謝罪する」と述べた。

イタリアでは感染者が1835人、死者は18人増えて52人になった。感染者の多くが北部ロンバルディア地方とヴェネト地方に集中している。

イランでは新たに12人の死亡が確認され、全体で66人となった。地元メディアによると、死者には最高指導者アリ・ハメネイ師の顧問モハンマド・ミルモハマディ公益判別会議員が含まれるという。

アメリカでの死者は6人となった。ドナルド・トランプ大統領は製薬会社がワクチンの開発を急いでいると述べた。一方、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は、イランからニューヨーク市内に帰国した医療従事者が感染のため自宅で隔離されていると発表した記者会見で、市中感染の拡大は「避けられない」と話した。

イギリスではこれまでに39人の感染が確認された。ボリス・ジョンソン首相は緊急治安特別閣議(コブラ=COBRA)の後に記者会見し、新型ウイルスは「向こう数日か数週間のうちにさらに勢力を増す可能性がある」と述べた。

このほか2日には、ポルトガル、アイスランド、ヨルダン、アルメニア、ラトヴィア、セネガル、アンドラなどで最初の感染者が報告された。

欧州疾病予防管理センターは、欧州連合(EU)域内でのCOVID-19の危険レベルを「中」から「中から高」へと引き上げた。

またこうした中、経済協力開発機構(OECD)は世界の経済成長率が2009年以来の低水準になる恐れがあると警告した。新型ウイルスの流行を受けた経済失速で、株式市場では先週だけで5兆ドル(約540兆円)が失われた。

(英語記事 World in 'uncharted territory' on coronavirus