さらに、昨年末からの米中貿易戦争の小休止や英国の欧州連合(EU)離脱確定を受けて、経済の不確実性が払拭(ふっしょく)され、IT投資の在庫調整も一段落することで、製造業も復活する。この点から、世界経済レベルでは2020年以降の復活が近いというものだった。

 特に、日本の財務省や日銀執行部では、この楽観シナリオが支配的だった。ただ、そこには昨年10月の消費税率10%引き上げの影響は全く存在しない影のようになってしまっている。

 最近、昨年10~12月期の法人企業統計が発表され、金融機関を除く全産業の設備投資が前年同期比3・5%減となった。これによって、先に発表されていた同期間の国内総生産(GDP)速報値が、年率換算6・3%減よりも下方修正されるだろう。

 ところが、この設備投資の落ち込みについても、消費増税の影響は見られないというトンデモな見解が財務省筋から出ている。驚きを禁じ得ないが、根底には先ほどの世界経済に関する楽観シナリオがあったのだろう。

 だが、この楽観シナリオは崩壊した。「コロナショック」により、世界の製造業、非製造業ともに深刻な打撃を受けたといっていい。

 まず、製造業では、グローバルPMI(世界製造業購買担当者指数)が3・2ポイント低下の47・2と、目安となる50を下回った。一般的には、50を上回れば前月比改善、下回れば前月比改悪となる。前者は世界の投資家のリスク許容度が高まる「リスクオン」の状況を生みやすく、後者は逆に「リスクオフ」(回避)になりやすい。

 ここ3カ月ほどは50を上回っていた。つまり楽観シナリオ通りの進行だったわけだ。それが2月は一転して、大幅な落ち込みに転じた。しかも、落ち込み幅は20年ぶりの水準である。主因は、やはり中国での生産の大きな落ち込みであろう。

 米国の消費が堅調である一方で、中国の消費が大幅に落ち込みを見せており、そこに日本や欧州での消費低迷が加わる。そのため、世界での非製造業の堅調にも大きく陰りが見えている。
ニューヨーク証券取引所のトレーダー=2020年3月3日(ロイター=共同)
ニューヨーク証券取引所のトレーダー=2020年3月3日(ロイター=共同)
 特に、新型コロナウイルスの感染拡大が、消費に甚大な影響を与えるのは明瞭だ。米国での感染拡大次第では、今後さらに世界の消費活動が落ち込む可能性がある。