
2020年03月06日 11:32 公開
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が5日、モスクワで会談し、シリア北西部イドリブ県の状況が大きく悪化するのを防ぐため、6日から停戦に入ることで合意した。
シリア・イドリブ県は、反体制派が制圧している最後の地域。ロシアはバシャール・アル・アサド大統領の政権軍の後ろ盾になっており、トルコは反体制派を支援している。
プーチン氏とエルドアン氏の会談は6時間に及んだ。終了後、以下を盛り込んだ合意を発表した。
- 停戦はシリアの6日午前0時1分(日本時間同7時1分)に全地域で発効
- イドリブ県の主要道路M4の北と南それぞれ6キロを、通行可能な安全回廊にする
- 15日からM4沿いにロシアとトルコが共同警備に当たる
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合意には停戦が含まれている一方、エルドアン氏は、シリア政権軍による「いかなる攻撃に対しても(トルコは)全力で報復する権利をもつ」と警告を発した。
プーチン氏は、合意が「イドリブ県の緊張緩和地帯における戦闘終結のための良い基盤になり、民間人の苦しみが終わる」ことを期待していると語った。
イドリブ県では先月、政権軍の攻撃でトルコ軍の兵士36人が死亡。トルコはシリア軍に報復攻撃をした。
この事態により、トルコとロシアが直接交戦する危険性への懸念が一気に高まっていた。
永続的か一時しのぎか
イドリブ県をめぐっては、プーチン氏とエルドアン氏が2018年9月、「緊張緩和地帯」にすることで合意していた。しかし実際には戦闘が続いていた。
BBCのジョナサン・マーカス防衛外交担当編集委員は今回の合意について、シリアのアサド政権と後ろ盾のロシアが、イドリブ県の奪回を断念することを示しているのかは不透明だと説明。永続的なものか、現在の緊張を和らげるための一時的な措置かも明確ではないとし、疑問が残る内容だとした。
BBCのジェレミー・ボウエン中東編集長は、プーチン氏にとってシリアにおける戦争は、ロシアが中東とさらに広い地域で影響力を再構築するうえで重要なものとなっていると解説。
一方、エルドアン氏については、イドリブ県を安全保障上の正当な利益とみなすとともに、トルコが地域で最強の存在でありたいと考えていると説明した。
そして今回の合意は、この両首脳による話し合いが可能なことを証明したと述べた。