ここで注目しておきたいのは、北方領土から北海道南部エリア、東北日本エリアと、広島から沖縄諸島へかけてのエリアで地震発生する傾向が極めてよく似ていることである。前2者は太平洋プレートが北米プレートにもぐり込んでいるところであり、北あるいは西へ向かうほど震源の深さは深くなる。それに対し、後者はユーラシアプレートにフィリピン海プレートがもぐり込むところであり、北に向かうほど震源は深くなる。

 これまで、沖縄諸島は、比較的小さな島であり電子基準点や震度を計測する地点の数が少なくあまり注目されてこなかった。しかし、地震が少ないわけではない。そして、地震の帯は台湾を経てフィリピンやインドネシアへと続く。筆者が政府の言う「南海トラフ地震」だけでなく、フィリピン海プレートの影響を受ける範囲における「スーパー南海地震」を心配するゆえんである。

 フィリピン海プレートの南端で、2018年12月29日にフィリピン(M7・2:深さ60キロ)、2019年1月7日にインドネシア(M7)が連続して発生した。そして、インドネシアでは、6月24日に(M7・3:220キロ)、7月14日に(M7・3)、11月15日に(M7・1)と続いた。

 また、ユーラシアプレートにあるクラカタウ山やタール火山が大噴火し、他方、太平洋プレートのもぐり込みの影響を受けたカムチャッカ半島や千島列島では、クリュチェフスカヤ山、エベコ山、シベルチ山などが大規模な爆発をしている。これらは海溝型地震の発生後に発生する巨大噴火と考えられており、海溝型地震以前に発生している九州の火山噴火とは異なる。

 口永良部島、薩摩硫黄島、桜島、霧島山新燃岳、霧島山硫黄島、阿蘇山などの九州の火山は、ユーラシアプレートに位置し、フィリピン海プレートの圧縮でユーラシアプレート内部のマグマだまりにあるマグマが噴出するもので、噴火により、たまっているマグマがなくなればそこで一度終了する。

 海溝型地震の発生する前には、これらの場所では極端に大規模な噴火は発生しない。これはフィリピン海プレートに位置し太平洋プレートの圧縮の影響で噴火している西之島新島と同じメカニズムである。

 さて、2019年10月12日、台風19号が関東地方やその周辺を襲い大騒ぎになっていたとき、千葉県南東沖でM5・7、震源の深さ80キロの地震が発生した。最大震度4であり、被害が生じるほどのものではなかった。この地震には東京湾口に東西に伸びる相模トラフが関与していた。

 すなわち、フィリピン海プレートが北米プレートにもぐり込んだことによる地震であった。通常、東北日本では太平洋プレートと北米プレートの関係で地震や火山噴火が発生すると考えられている。そして、西南日本ではフィリピン海プレートとユーラシアプレートの関係で考えられてきた。さらに、政府地震調査会は、南海トラフ地震を伊豆半島より東、高知県西部までの範囲に限定してきた。
四国沖の南海トラフ沿いでの大地震を想定し実施された、評価検討会を緊急に開く訓練=2019年10月、東京・大手町の気象庁(代表撮影)
四国沖の南海トラフ沿いでの大地震を想定し実施された、評価検討会を緊急に開く訓練=2019年10月、東京・大手町の気象庁(代表撮影)
 ところが、10月12日の千葉県南東沖の地震は、フィリピン海プレートと北米プレートとの関連で発生した地震であった。すなわち、伊豆半島の東側においてフィリピン海プレートの影響がある。