島村英紀(武蔵野学院大特任教授)

 首都圏に住む人々は日本有数、いや世界有数の地震多発地帯の上に住んでいることになる。日本で起きる地震には2種類があり、一つは海溝型地震、もう一つは内陸直下型地震である。

 前者には東日本大震災(2011年)を起こした東北地方太平洋沖地震や、これから起きるに違いない南海トラフ地震がある。後者には、1995年に起きた阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)や2016年に起きた熊本地震がある。

 この2種類の地震は起きるメカニズムが違う。海溝型地震は、日本列島を載せているプレートに海洋プレートが衝突してくることで起きる。それゆえプレートが毎年4~8センチという速さで動いてくる分だけ、次第に地震を起こすエネルギーがたまっていっている。

 そして、岩が我慢できる限界を超えたら大地震が起きる。その意味では、毎年地震に近づいていることは確かなことだ。

 起きる場所は海溝の近くに限定され、多くの場合は太平洋岸の沖である。この地震はマグニチュード(M)8クラスか、もっと大きくなる。

 2011年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震はM9で、甚大な津波の被害を多くの県に引き起こした。震源の大きさは南北400キロ、東西150キロにも達した。あまりに被害が大きかったために、丸9年たった今も、復興には多くの問題が残ったままだ。

北海道胆振東部地震による停電で暗くなった狸小路商店街を、スマートフォンの明かりで歩く人たち=2018年9月、北海道札幌市中央区(宮崎瑞穂撮影)
北海道胆振東部地震による停電で
暗くなった狸小路商店街を、
スマートフォンの明かりで歩く人たち
=2018年9月、北海道札幌市中央区(宮崎瑞穂撮影)
 他方、内陸直下型地震は違う。これは日本列島を載せているプレートがねじれたり、ゆがんだりして起きるもので、どこに起きるか、いつ起きるかは、今の学問では分からない。つまり、日本のどこにでも起きる可能性がある。

 内陸直下型地震は人間が住んでいるすぐ下で起きる。このため、マグニチュードの割りに被害が大きくなる。M7・3の阪神・淡路大震災では6400人以上の犠牲者を出し、2018年9月のM6・7の北海道胆振(いぶり)東部地震や同6月のM6・1の大阪北部地震でも大きな被害が生じた。大阪北部地震での地震保険の支払額は阪神・淡路大震災を超えた。

 首都圏は、間の悪いことに、この2種類の地震が直下で起きるところだ。海溝型地震が日本の陸の直下で起きる地域は、首都圏と清水・静岡だけである。