直下型地震は繰り返しが分からないが、海溝型地震は繰り返す。元禄関東地震、関東地震と繰り返してきた地震も、あと100年ほどは起こらないだろうと以前は思われていたが、東北地方太平洋沖地震の影響で、もっと早まるかもしれないと考えられ始めている。

 ただし、政府が言う「30年以内に70%」とかいう数字そのものは、あてにならない。私もシミュレーションを何度もしたことがあるが、入力があいまいであてにならなければ、出力もあてにはならない。

 将来の地震予測は、入力そのものがあいまいなのだ。結果として出てくる数字はあてにしない方がいい。

 海溝型の大地震もまた、首都圏を襲う可能性がある。関東地震や元禄関東地震は、今後必ず繰り返される地震である。

 だが、今の日本では問題がある。それは南海トラフ地震という特定の海溝型地震がクローズアップされることによって、「次に起きる大地震」が、この特定の地震に違いない、という刷り込みが行われることだ。

 阪神・淡路大震災の前には、1976年に始まった「東海地震騒ぎ」があった。地震予知ができることを前提にした大規模地震対策特別措置法(大震法)が作られたこともあり、「次に起きる大地震は東海地震に違いない」と政府も自治体も、そして一般人も思い込んだとき、「地震はない」はずの関西に襲ってきたのが阪神・淡路大震災だった。

 その後も似た状況にあった。北海道南東沖の巨大な海溝型地震がいずれ起きる可能性が高い、と政府が発表している足元で、全く別の内陸直下型地震、北海道胆振東部地震が起きてしまったのである。
2007年9月1日、東海地震地震災害警戒本部会議で、中川義雄内閣府副大臣(画面右)とのテレビ会議に臨む安倍晋三首相(左端)=首相官邸(代表撮影)
2007年9月1日、東海地震地震災害警戒本部会議で、中川義雄内閣府副大臣(画面右)とのテレビ会議に臨む安倍晋三首相(左端)=首相官邸(代表撮影)
 これからもそうだが、南海トラフ地震が「次に起きる大地震」ではないかもしれない。海溝型地震は「いずれ」起きる。しかし、現在の学問では、「いつ」起きるか分からない。その間に、大きな内陸直下型地震によって大きな被害が生じてしまう可能性は決して低くないのである。

 それが首都圏かもしれないのだ。首都圏を襲う大地震にしても、次に起きるのが内陸直下型地震か、関東地震型の海溝型地震かは分からないのである。