2020年03月10日 15:52 公開

新型コロナウイルスの集団感染が確認され、米カリフォルニア州サンフランシスコ沖に5日間停泊していたクルーズ船「グランド・プリンセス」が9日、オークランドに入港し、乗客が下船を開始した。下船は10日までに完了する予定という。

54カ国からの乗客乗員約3500人が乗ったグランド・プリンセスをめぐっては、乗客2人と乗員19人の感染が確認されている。

まず最初に、緊急の治療が必要な乗客が病院へ搬送される。その後、治療が不要なアメリカ在住者が、カリフォルニア州やテキサス州、ジョージア州の米軍基地へ移送され、14日間の隔離措置を受ける。

イギリス人140人を含む外国人の乗客数百人は、それぞれ自国へと送還されることとなる。

グランド・プリンセスをめぐっては、新型ウイルスに感染し今月4日に死亡した男性(71)が、先月乗船していたことが明らかになり、当局が注目していた。

基礎疾患のあったこの男性は2月、このクルーズ船でサンフランシスコとメキシコを往復していた。

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ドナルド・トランプ米大統領は、新型ウイルスは世界に「不意打ちを食らわせている」と述べた。

トランプ大統領から新しく首席補佐官に任命されたばかりのマーク・メドウズ氏を含む、複数の政治家は、新型ウイルス検査で陽性が確認された人物と接触していたことを受け、自主隔離をしている。

アメリカでは、34州と首都ワシントンで合わせて600人以上が感染し、20人以上が死亡している。

世界の感染者数は10万人を超え、約3800人が死亡している。

帰国便を調整

イギリスの外務省は、イギリス市民のためのフライトを調整するため、米当局と「集中的に連携」していると述べた。現時点では、帰国便は10日夜にアメリカを出発し、翌11日午後までにはイギリスに到着する見込みという。

英シュローズベリー在住の乗客、リンダ・ステネット氏は、BBCラジオ・シュロップシャー州に対し、英外務省から、英国人を帰国させるための飛行機を米国へ送るつもりだとのメールが届いたと明かした。

「オークランドへ入港したら、最初にアメリカ人が下船するのは分かっているし、時間がかかるのも分かっている。2、3日かかる見込みだと言われているので、私たちはその後に下船できればいいんだけど」

ステネット氏は、船内の士気は良い状態だとした一方で、長期間客室に閉じ込められ、乗客は「少し落ち着きがなくなりつつある」と述べた。

カナダ政府も、船内のカナダ市民200人以上を帰国させる方針だ。新型ウイルスの症状が現われていないすべてのカナダ人は、空路で帰国後、オンタリオ州のカナダ軍基地で14日間の隔離措置を受けることとなる。

一方で、症状のある人については、アメリカ国内でさらに検査をし、治療も行う可能性があるとしている。

当局によると、乗客の下船が終わり次第、同クルーズ船はオークランドを出港する。乗員はそのまま船内で隔離されるという。

オークランドのリビー・シャーフ市長は記者会見で、「誰1人としてオークランドで隔離措置を受けることも、我々のコミュニティーに解放されることもないだろう」と述べた。

複数のクルーズ船が入港できず

グランド・プリンセスは、横浜港で隔離されていた客船ダイヤモンド・プリンセスと同じ米英企業プリンセス・クルーズが運航する。

他にも、同社の複数のクルーズ船が入港を拒否されている。「リーガル・プリンセス」は、新型ウイルス検査が完了するまでフロリダ州沖での停泊を余儀なくされている。

当局によると、約2000人を乗せた別のクルーズ船「コスタ・フォーチュナ」は、マレーシアとタイで入港を拒否されたという。

首都ワシントンも直撃

新型ウイルスの感染は、首都ワシントンにも到達し、議員や住民に影響を与えている。そして新型ウイルスのアウトブレイク(大流行)はトランプ大統領のすぐ側に迫っている。

7日にはワシントンで、新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」が初めて確認された。感染したのは50代男性で、教区牧師だという。ワシントン当局は9日、クライスト・チャーチ・ジョージタウン教会のメンバー数百人に対し、14日間の自主隔離を求めた。

2人目は、新型ウイルス検査で陽性と診断される前にワシントンに1泊滞在した男性で、現在はメリーランド州の病院に入院している。

テッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)、ポール・ゴーサー下院議員(アリゾナ州選出)、ダグ・コリンズ下院議員(ジョージア州選出)、マット・ゲーツ下院議員(フロリダ州選出)の4議員もまた、自主隔離中だ。4人は先月末、保守系の政治会議に出席した際、新型ウイルスの感染が確認された人物と握手をしていた。

トランプ大統領とマイク・ペンス副大統領もこの会議に出席していた。2人とも、この人物とは直接的な接触はしていないが、トランプ氏は、この人物と接触した議長とは握手を交わした。

また、ゲーツ氏は、新型ウイルス検査を受けたと発表する前の9日、トランプ氏とともに大統領専用機「エアフォースワン」に搭乗した。

9日夜の記者会見で、トランプ氏がウイルス検査を受けたのかを問われた際、ペンス氏は回答できなかった。

トランプ氏はアウトブレイクの最中、国民に対し落ち着くよう求め続けている。同氏は9日、COVID-19と一般的なインフルエンザを比較する内容をツイートした。

「さて去年は3万7000人のアメリカ人が一般的なインフルエンザで死亡した。毎年平均2万7000人から7万人が死亡する。それでも何も閉鎖されないし、生活も経済活動も続く。現時点で、546人が新型コロナウイルスに感染し、死亡したのは22人だ。考えてみてほしい!」

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1237027356314869761


トランプ氏は記者団に対し、経済を支えるために減税などを提案していると述べた。

「我々は、給与税の減税あるいは控除、かなりの控除、かなり相当な控除、大きな額について協議する」と述べた。

カナダの状況は

カナダでは9日朝の時点で、新型ウイルスの感染が確認された人あるいは感染の疑いがある人は76人に上った。この中には、ブリティッシュコロンビア州ノース・ヴァンクーヴァーで死亡した1人が含まれる。

症例のほとんどはオンタリオ州やブリティッシュコロンビア州で確認されているが、ケベック州やアルバータ州でも複数の感染が確認されている。

カナダの公衆衛生当局は、クルーズ船での旅行は避けるよう忠告している。先週には、ダイヤモンド・プリンセスを下船し、隔離措置を受けていたカナダ人の乗客が隔離を解除された。

新型ウイルスの感染者数は、アウトブレイク(大流行)の発生源となった中国の外では、イタリアが最多(7375人)で、韓国の7313人を上回った。

(英語記事 Virus-hit cruise ship docks in California