2020年03月10日 16:24 公開

新型コロナウイルスの流行により、欧州の航空会社が苦渋の選択を迫られている。欧州連合(EU)法では、主要空港での発着枠の利用率が80%を切った場合その発着枠が失効するというルールがあり、利用客が激減する中でも運航を止められないためだ。

英ヴァージン・アトランティック航空は、ロンドン・ヒースロー空港など主要空港の発着枠を維持するため、ほぼ空席の旅客機を運航していると明らかにした。

同社のシャイ・ワイス最高経営責任者(CEO)は、「COVID-19のため航空便の需要は劇的に落ち込んでいるが、ほぼ空席の機体を飛ばさなければ、貴重な発着枠を失ってしまう」と述べた。

別の英航空会社も、このルールが変わらなければ、向こう2週間は搭乗率40%の便を32便運航しなくてはならないと話している。

新型ウイルスの感染拡大を受け、航空業界はEUにこのルールの一時緩和を求めている。

Use it or lose it (使わなければ失う)」

EU法が定める国際空港の指針では、利用者の多い大型の空港では発着枠が限定されている。

こうした空港では、過去の利用履歴などを元に各航空会社に発着枠が割り当てられているが、発着枠の利用率が80%を切ると失効となり、別の航空会社に割り当てられてしまう。

割り当て自体は無料だが、二次市場で人気の発着枠が数千万ポンドで取引されており、航空会社はめったなことでは発着枠を手放そうとししない。

現在、欧州から中国本土や香港へ向かう便についてはこのルールが停止されているものの、その他の便ではなお適用されている。

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豪カンタス航空は減便、幹部の給与カットも

オーストラリアのカンタス航空は、新型ウイルスによる利用客減を受け、向こう6カ月にわたり国際便の25%近くを削減すると発表した。

対象はアジアおよびアメリカ発着便が中心となり、傘下の格安航空ジェットスターも含まれる。カンタス航空は、保有するエアバスの大型機「A380」10機のうち8機の利用を停止し、小さな機体で運航するとしている。

アラン・ジョイス最高経営責任者(CEO)は、この期間に給与の一部を返還すると発表。役員の給与も3割削減するという。

新型ウイルスをめぐっては、かねて経営危機にあった英フライビー(Flybe)が需要減のあおりを受けて破産を申請するなど、航空業界への影響が深刻化している。

各社とも減便を余儀なくされており、雇用の停止や、従業員に無給休暇を呼びかける企業も出ている。

国際航空運送協会(IATA)は5日、新型ウイルスによる今年のマイナス影響は、最大1130億ドル(約12兆円)に達するとの見通しを発表した。

(英語記事 Virgin Atlantic admits flying near-empty planes / Coronavirus: Qantas cuts almost quarter of flights