2020年03月12日 9:00 公開

米ニューヨークの裁判所は11日、強姦や性的暴行の罪で有罪評決を受けた元大物映画プロデューサーのハーヴィー・ワインスティーン被告(67)に、禁錮23年の実刑判決を下した。数年前までハリウッド有数の実力者だった被告はこの日、車椅子で出廷した。

ワインスティーン被告はこの日、初めて法廷で発言し、「深い後悔」の念を抱いていると述べる一方、自分や多くの男性がことの推移に「完全に混乱している」と発言。これは、ワインスティーン被告への告発を契機に世界的に広まった「#MeToo」運動への批判とも受け止められている。

被告は禁錮刑を受けると共に、性犯罪者として犯罪データベースに登録される。

この刑事裁判で証言した女性6人は全員、この日の量刑言い渡しを一緒に座って傍聴していた。

2月末に有罪評決を受けてから入院していた被告について、弁護団はたとえ禁錮5年でも「終身刑に相当する」と主張し、情状酌量を求めていた。これに対して検察側は、「長年にわたり多くの女性を虐待してきた」ことに被告が「後悔を示していない」として、可能な限り重い量刑を求めていた。

被告を告発した女性3人の代理人、グロリア・オルレッド弁護士は裁判所の外で、「これが正義の姿」と書かれたプラカードを掲げた。

「性犯罪の常習者の皆さん、混乱して何が起きているか良く分からないなら、これだけ覚えておくといい。20年プラス3年だと」と弁護士は述べた。

ワインスティーン被告に対して陪審団は2月、第3級強姦罪と第1級性的犯罪行為罪で有罪と評決していた。

一方、起訴事実の中で最も重大で、終身刑の可能性もあった2件の捕食的性的暴行罪と、第1級強姦罪については無罪とした。

ワインスティーン被告は一貫して無罪を主張しており、弁護団はすでに上訴する方針を明らかにしている。

被告に対する刑事裁判はニューヨークでのこれが初めてだったが、今後はロサンゼルスでも強姦や性的暴行の罪に問われており、裁判が始まる見通し。ロサンゼルスの検察当局はすでに、身柄引き渡しを求める手続きを進めている。

<関連記事>

「平等な正義」

被害者女性の代理人、オルレッド弁護士は裁判所の外で、「今なお女性を獲物にしている皆さん、女性を傷つけても逃げられるとタカをくくってハイリスクな真似を続けたい皆さん、今後はもうそのギャンブルは割に合わなくなると思いますよ」と述べた。

さらに弁護士は、「そしてあなたが有名人でも、平等な正義しか得られません。それ以上のことは期待しないように」と強調した。

被害者の女性2人は法廷で、自分が受けた影響について陳述を読み上げた。

制作助手だった2006年に被告に無理やりオーラルセックスをされたという訴えが認められた、ミミ・ヘイリーさんは、そのせいで「精神面でも感情の面でも深い傷を負った」と陳述。「この人のしたことは私から人間としての、そして女性としての尊厳を奪っただけでなく、私の自信を押しつぶした」。

女優志望だった2013年に被告に強姦されたという主張が認められたジェシカ・マンさんは、被告の弁護団が公判中に「真実をねじまげようとした」と批判。その上で、「自分のクローゼットに怪物が潜んでいるんじゃないかと、そんなことをもう心配しなくていい」未来を望んでいると話した。

マンハッタン地検のサイラス・ヴァンス・ジュニア検事は、法廷が被告に厳罰を下したことを感謝し、社会にいるほかの「性犯罪常習者や、パートナー虐待の常習者」への「警告になる」と述べた。

ヴァンス検事は、「ハーヴィー・ワインスティーンはまさにスパイ軍団を駆使して、(被害女性たちの)証言を阻止しようとした。しかし、彼女たちは決して口をつぐもうとはしなかったし、その声は私たちに届いた」と、証言した女性たちをたたえた。

「彼女たちの言葉のおかげで、(捕食動物のようにえものを追い狙う)常習犯は捕らえられ、刑務所に入れられる。そしてそのおかげで、世界中にいる性暴力のサバイバーに希望を与えた」と、検事は強調した。

アメリカの性暴力被害者支援組織「強姦、虐待、近親相姦、全国ネットワーク(RAINN)」は、ワインスティーン被告が重い長期刑を受けたことを評価した。

「この事件と、この事件によって、いかに性暴力が広くはびこっているか国中が現状に直面した。この影響はいつまでも続く」と、RAINN代表のスコット・バーコウィッツ氏は声明を出した。

「これを機に性暴力を生き延びたサバイバーの人たちが、被害を主張できるようになってほしい。自分がそうすることで、加害者の裁きに大きな影響を与えられると、この裁判が示してくれたので」

(英語記事 Harvey Weinstein jailed for 23 years in rape trial