2020年03月13日 11:20 公開

世界的な大流行となった新型コロナウイルスによる経済への打撃が懸念されるなか、米英の株式市場は12日、過去最大の下げ幅を記録し、東京市場でも株安が続いた。トランプ米政権が感染拡大への対策として、イギリスなどを除く欧州からの外国人の入国を禁止したことから、経済活動がさらに縮小するのではと警戒感が高まり、売り注文が相次いだ。

13日午前の東京株式市場では、日経平均が一時1万7000円を割り込んだ。その後も下げ止まらず、下げ幅は一時1500円超に達した。午後には徐々に戻したものの、前日比1128円58銭(6.08%)安の1万7431円05銭と、2016年11月以来の安値で取引を終えた。

ロンドン株式市場ではFTSE100種総合株価指数が前日終値から10%以上安になり、1987年10月のブラック・マンデー以降で最大の下落率を記録した。FTSE100種の下落によって、約1600億ポンド(約21兆6000億円)の資産が市場から失われた。フランスとドイツでも、株価指数は12%以上下落した。

ニューヨークではダウ平均株価とS&P500種も過去最大下げ幅を記録し、下落率もブラックマンデー以降で最大になった。取引開始から株価が急落したため、売買を一時中断する「サーキット・ブレーカー」が9日に続いて発動され、取引が15分間停止された。しかし取引再開後も、欧州市場の下落を受けて株価は下がり続けた。

ダウ平均は2352.60ドル(10%)安の2万1200.62ドル。S&P500種は前日比9.5%安、ハイテク株中心のナスダック総合指数は9.4%安になった。

欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和策を相次ぎ発表したものの、株安は止まらなかった。

「市場は限界点に達している」と、金融サイトMarkets.comのチーフアナリスト、ニール・ウィルソン氏は警戒感を示す。「たとえ一時的にせよ、経済が完全に停止したらどうなるのか誰も知らない」。

トランプ米大統領が欧州大陸からの渡航一時停止を発表したことで、特に航空各社の株価が大きく打撃を受けた。米デルタ航空やユナイテッド航空の株価は20%超急落し、イギリスではブリティッシュ・エアウェイズ(BA)を傘下に持つインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が15%超下落。格安航空TUIエアウェイズは17%下落した。

原油価格も下がり、北海ブレント原油先物は8%安の1バレル約33ドルになった。

米金融大手ウェルズ・ファーゴのチーフ・エコノミスト、ジェイ・ブライソン氏は、「今後の景気縮小はほんの数日前の見通しよりさらに深く、さらに長引く可能性が強まってきた」と懸念した。「航空業界とホテル業界は自由落下状態にあり、相乗効果が出るはずだ」。


<解説> なぜ投資家はあらためておびえたのか――ドミニク・オコネルBBCビジネス担当編集委員

新型コロナウイルスによって世界経済が震え上がるなか、欧米の3大中央銀行が一緒になって手持ちの武器で対抗した。しかし効果はほとんどなかった。

株価は下がり続け、FTSE100種にとって12日は1987年10月のブラック・マンデー以来最悪の1日になった。

投資家は何をいまさら改めておびえているのかと、はたから見ているとまたしても、そう思えるかもしれない。ここ10日もの間、各地の中央銀行は株安阻止に最善を尽くしてきた。

正直なところ、新しい材料は特にない。この新型ウイルスが経済をひどく揺るがし、それによってほとんどの欧米諸国は景気後退に陥るだろうと、大半の投資家はすでに承知していた。

しかしこの日になって投資家があらためておびえた原因は、トランプ大統領の決定かもしれない。欧州大陸とアメリカの間の行き来をほぼ全面的に停止させるという、それだけでも大変な要因だが、何よりもその決定の仕方が重要な要因となり、投資家の不安感を高めた。関係各所との協議はなく、テレビ演説するトランプ氏はいつになく心もとなく不安な面持ちだった。まるでついに自分自身も、ウイルスでパニックしているみたいに。

細かい点かもしれないが、非常に分かりやすい混乱もあった。トランプ氏は当初、渡航禁止は貨物便も対象だと述べたのだが、間もなくいや対象ではないと自ら訂正した。しかし、国際貨物のかなりの部分は、旅客機が運ぶ。もし旅客機が飛ばなければ、貨物の量もかなり減る。そうすれば大西洋の両側で、輸出業者も製造業者も、大混乱に陥る。


(英語記事 Coronavirus: FTSE 100, Dow, S&P 500 in worst day since 1987