2020年03月16日 11:59 公開

米連邦準備理事会(FRB)は15日、新型コロナウイルスによる経済への影響を軽減するため、政策金利をほぼ0%まで切り下げ、7000億ドル規模の量的緩和政策を導入した。

イギリスや日本、ユーロ経済圏、カナダ、スイスが15日以降に発表した金融対策と足並みをそろえるもの。

FRBのジェローム・パウエル議長は記者会見で、新型ウイルスの世界的流行は経済に「深刻な」影響を及ぼしていると述べた。

ドナルド・トランプ大統領はFRBの動きについて、「とても嬉しい」と述べた。

金融市場を安定させるか

FRBは政策金利を0~0.25%に切り下げた。また、米国債などを買い入れ、市場に資金を直接供給する量的緩和を始めるとした。

米中央銀行に当たるFRBは、3月3日の緊急会合後に0.5%の利下げを実施していた。通常の政策会合以外で利下げを実施したのは、2008年の金融危機以降で初めてだった。

新型ウイルスによる経済の停滞で企業利益が後退し、世界的な景気後退を招くのではないかという懸念から、先週の株式市場では急落が相次いだ。

今回のFRBの決定は、金融市場の下支えにはならない可能性もある。たとえば、取引開始時の動向を予測する米株価指数先物は4%近く急落した。

今週予定されていた通常の金利決定会議に代わり開かれた緊急会議の後、パウエル議長は、新型ウイルスの大流行がどれほど経済に影響を及ぼすかを見極めるのは尚早だと警告した。

「経済の概況は、新型ウイルスの拡大を受けて日ごとに変化しており(中略)計り知れない」と、議長は述べた。

ドル資金の供給を強化

FRBの発表では、他国の中央銀行と協調して、市場へのドル資金の供給強化を図る方針も明らかにした。

「通貨スワップ協定」と呼ばれるこの取り組みは、2008年の金融危機後、金融市場の安定化の重要なツールとなった。

英イングランド銀行(中央銀行)のマーク・カーニー総裁は、16日に次期総裁となるアンドリュー・ベイリー氏と共同声明を発表。「今日の主要中央銀行による協調行動で、金利の引き下げとドル資金の供給期間の延長が実施され、世界的な流動性が高まるだろう」とした。

英CMCマーケッツの主任市場アナリストのマイケル・ヒューソン氏は、こうした協調行動について、「ともかく何でもしようとするもので、到来する経済的衝撃の深刻さを強調している」とコメント。

米オンライン銀行Bankrate.comの主任金融アナリストのグレッグ・マクブリッジ氏は、「非常時には非常時の対応が必要で、FRBはまさにそうしている」と解説。「2008年には世界経済が恐慌になりかけたが、あの時のような信用不安を避けるため、FRBはクレジット市場を支えようとている」。

「利下げは既存債務の負担をわずかに軽減するが、米経済活動の落ち込みが予想される中で消費者や企業は危機に備えて慎重になっているだけに、いつものような借り入れ急増にはつながらないだろう」

BBCのファイサル・イスラム経済編集長は、米経済が新型ウイルスで深刻な打撃を受けるなか、FRBは景気刺激のため打てる策はほとんど打ったことになると指摘する。

今回の動きで米企業などの資金繰りは落ち着くはずだが、アメリカの感染拡大は予想よりずっと深刻で、米当局はもうあまり選択肢が残されていないという現実を示すものだと、イスラム氏は言う。


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(英語記事 US in emergency rate cut and huge stimulus plan