2020年03月16日 12:21 公開

イギリス当局は、新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)への警戒のため、70歳以上の国民に対し「向こう数週間のうちに」自宅で待機するよう呼びかける方針だ。

マット・ハンコック保健相は、この警戒対策が実施された場合、自宅待機の期間は「非常に長いものになる」と話した。

政府は16日にも、高齢者に対し社会活動で他人と一定の距離を取るよう呼びかける声明を発表する予定だが、自主隔離の期間は長くはないという。

イギリスではこれまでに35人が亡くなっている。

ハンコック保健相はBBCの取材に対し、国民保健サービス(NHS)で今後需要が高まると見られる呼吸器などの医療機器の製造を助けるよう企業に促すとしている。

また、ホテルを臨時の病院にする計画や、私立病院に病床を増やすよう交渉していると話した。

イギリスの現状は?

イギリス保健省によると、同国ではこれまでに4万279人が検査を受け、1372人の感染が確認されている。

新しい感染者のほとんどはイングランドで確認されている。また、35人の死者の大半が60歳以上で基礎疾患を持っていた。

一方、新型ウイルスで自主隔離している軽症の患者については、現在は検査を取りやめている。政府の検査対象の指針は以下の通り

  • 肺炎や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、インフルエンザのような症状があり、病院での治療が必要な人
  • アウトブレイク(大流行)が起きた住宅地や、長期介護施設や刑務所といった長期滞在する場所

政府の方針とは

BBCの報道番組「アンドリュー・マー・ショー」に出演したハンコック保健相は政府の方針について、70歳以上で特定の健康状態にある人に自主隔離を要請すると話した。ただし、期間は明らかにしなかった。

また、COVID-19の症状がない人は高齢の親戚や友人を訪ねてもよいが、2メートル以上は近付かないようにしてほしいと語った。

NHSでは、緊急ではない手術をとりやめるなどして、COVID-19の治療に人員を確保する方針だという。

さらに、アウトブレイクについて政府の権限を拡大する緊急法案の詳細を17日にも発表すると明らかにした。

ハンコック氏の述べた政府方針について、ウェールズのヴォーガン・ゲシング保健相は、高齢者に長期間の自主隔離をお願いする可能性は「おおいにあり得る」と話した。

一方、スコットランドのジーン・フリーマン保健相はこの方針に難色を示し、自主隔離ではなく「社会的な接触を控えるよう要請するだろう」としている。

スコットランドでは500人以上の集会を自粛するよう呼びかけている。

自動車メーカーなどにも呼吸器製造の支援要請

ハンコック氏は、イギリス国内では現在、5000個の呼吸器が利用可能だが、その何倍も必要になると指摘。

自動車メーカーや兵器メーカーなどに、COVID-19患者向けの呼吸器の製造支援を要請したと話した。

その他の地域の状況

  • 南アフリカは、感染が拡大している国からの渡航を制限したほか、学校を閉鎖する方針
  • ドイツやオーストリア、フランスなど欧州連合(EU)各国で封鎖などの厳しい制限が取られ始めている
  • イギリス政府は、厳しい制限が敷かれたスペインへの不要不急の渡航を取りやめるよう呼びかけている
  • ドナルド・トランプ大統領が欧州各国からの入国を制限すると発表したアメリカについても、英政府は17日以降に同様の要請を発する予定
  • 渡航制限により航空会社への影響が深刻化しており、イギリスの航空業界は緊急財政支援の必要性を訴えている
  • バハマに停泊中のクルーズ船「フレッド・オルセン」で、5人の新型ウイルスの感染が確認された。このクルーズ船にはイギリス人が約600人乗船している

(英語記事 Virus isolation for over-70s 'within weeks'