2020年03月17日 11:38 公開

新型コロナウイルスのパンデミック対策で世界各国の中央銀行が協調態勢を表明する一方、各国の株式市場は週明けの16日も急落した。ニューヨーク株式市場では、ダウ平均株価が先週末から3000ドル近く急落して取引を終えた。

一方で17日午前の東京株式市場では、日経平均株価が小幅ながら5営業日ぶりに反発し、前日比9円49銭(0.06%)高の1万7011円53銭で終えた。

これに先立ちアメリカでは16日、ドナルド・トランプ米大統領が記者会見で、アメリカ経済が景気後退に向かっている「かもしれない」と発言した後、ダウ工業株30種平均は2997.10ドル(12.9%)安の2万0188.52ドルになった。下げ幅は12日の2352ドルを上回り、過去最大。1987年10月のブラックマンデー以来の下落率だった。

この日のニューヨーク市場は急落で始まり、取引開始直後に全ての株式売買を一時中断する「サーキット・ブレーカー」が発動された。15分の取引再開後にも売りが殺到した。

S&P500種は11.9%、ハイテク株比率が高いナスダック指数は12.3%下がった。ダウ平均、S&P500、ナスダックの3指標はいずれも最高値から25%下がっている。

ロンドンのFTSE100種は4%安になり、他の欧州市場でも主要指標は同様に下落した。

ロンドン市場では特に旅行業界の各社が大きく値下がりした。団体旅行や宿泊プランのほとんどを停止すると発表した英TUIトラベルの株価は、27%下落。4月と5月の輸送能力を少なくとも75%削減すると発表した、英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)を傘下に持つインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は、25%超値下がりした。


これに先立ち米連邦準備制度理事会(FRB)は15日、新型コロナウイルスによる経済への影響を軽減するため、政策金利をほぼ0%まで切り下げ、7000億ドル規模の量的緩和政策を導入。イギリスや日本、ユーロ経済圏、カナダ、スイスの中央銀行との共同歩調の一貫だった。

しかし、新型コロナウイルス拡大による経済失速への警戒から金融市場の動揺は続き、各国中央銀行は手詰まりなのではないかとの懸念も高まっている。

CMCマーケットのアナリスト、デイヴィッド・マッデン氏は、中央銀行が市場を落ち着かせようとすればするほど「実際には逆効果」だと話す。

「中央銀行が打ち出す大胆な施策は、投資家の警戒感を高めている。だから手当たり次第に株を手放している」

米投資会社スレートストーン・ウェルスの投資戦略主任ロバート・パヴリク氏は、「FRBは手持ちの武器を手当たり次第に使った。最初は効くかもしれないが、(新型ウイルス問題は)まだ拡大しているので、FRB施策の効果は長続きしない。要するに弾を撃ちつくしてしまったので、あとは棒切れや石ころを投げるしかない状態だ」と話した。

原油価格も大きく値を下げ、ロンドンで取引される北海ブレント先物は先週末比10%超安、1バレル=32ドル以下をつけた。ニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は、8%超下げ、1バレル=30ドルを割り込んだ。


<解説> 分別かヒステリーか――ダルシニ・デイヴィッド、BBC世界貿易担当編集委員

たった数週間前まで、中国湖北省で工場が停まれば世界経済の成長が一時的につまずくというのが、もっぱらの懸念だった。しかしそのうち、経済への打撃はそれどころではないと明らかになった。

今では、観光レジャー産業が停止を余儀なくされ、サプライチェーンが脅かされるなか、幅広い景気後退の可能性が高まってきた。別の言い方をすれば、経済成長が2四半期連続して低下すれば、一部の業界は資金繰りの危機に陥り、そうなると企業の経営破綻と失業の拡大につながる。

政策決定者はこの後退を食い止めなくてはならない。FRBは15日に派手な発表をして、中央銀行が大胆なことをしようと思えばできるのだと身をもって示した。しかし、利下げの効果は限られている。飲食店が店を閉じ、フライトが中止されるなか、金利が下がったからといってマルセイユなりニューヨークなりに行って大盤振る舞いをしようという気になる消費者は少ない。

そこで各国の市場は政府に、もっと対象を絞った支援や救済策を期待している。とはいえそれだけでは、市場の動揺は収まらない。金融各社は目下それぞれ、職場の安全確保に非常時の計画を実施している。そうしたなかで投資家が本当に期待しているのは、世間に広がるウイルス量がピークに達したという合図、そして金融市場の回復が始まったという印なのだ。


(英語記事 US stocks see worst fall since 1987 on virus fears