2020年03月17日 12:20 公開

アメリカのドナルド・トランプ大統領は16日、感染が拡大する新型コロナウイルスについて、同国全土における非常事態は「8月か7月、あるいはそれ以上続く可能性がある」と述べた。トランプ氏は当初、新型ウイルスのアウトブレイク(大流行)は数週間で終息するとの見解を示していた。

ホワイトハウスで会見したトランプ氏は、新型ウイルスの感染拡大防止を目的とした新たなガイドラインを発表。今後15日間は10人超で集まることや、バーやレストラン、フードコート、体育館の利用や、人ごみを避けるよう国民に求めた。

また、アメリカが「非常に感染力のある」「目に見えない敵」に直面していると述べた。

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アメリカではこれまでに4600人以上が感染し、85人が死亡している。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、新型ウイルスによる感染症「COVID-19」の発症が確認された人数は世界中で18万2000人以上、死者は7100人以上に上っている。一方で、回復した人は7万9000人以上という。

米国の新ガイドラインの内容とは

トランプ大統領は、新型コロナウイルス対策本部がまとめた他の推奨内容も発表した。それには以下の内容が含まれる――。

  • すべてのアメリカ人高齢者には自宅待機を推奨。国内の全員が在宅勤務をしたり、学校の授業は自宅で受けたりするよう要請
  • 自己判断による旅行や買い物、社交目的の訪問は避け、介護施設や退職者用施設に近づかないようにすること
  • 同一世帯内に新型ウイルス陽性が確認された人がいる場合、同居者全員が自宅に留まること

トランプ氏は記者団に対し、「我々は行動指針をさらに厳格にして、この時点で感染を鈍化させる決断を下した」と、沈痛な口調で述べた。

「後手後手に回るより、むしろ先手を打ちたい」

記者会見に同席した、ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策調整官デボラ・バークス医師は、「もしアメリカ国内の全員が今後15日間、我々の要請に従えば、劇的な違いが出る」と述べた。

バークス氏は、ミレニアル世代と呼ばれる若年層に対し、新型ウイルスに感染し重症化するリスクは低いものの、社会的接触を制限するよう直訴した。

「ミレニアル世代は、新型ウイルスの拡大阻止において、中核になる存在だ。(中略)我々は、人々が距離を保って過ごすことを強く望んでいる」

また、気分がすぐれているからといって、複数の相手と会って交流するのは避けるよう警告した。「新型ウイルスに感染しても無症状のままウイルスを拡散し続ける、大きい集団が存在している」。

景気後退の可能性、国境の封鎖は

トランプ氏はまた、アメリカの景気が後退へと向かっている「かもしれない」と述べた。記者会見後、米株式相場は12%超下落し、1987年以来の下落率を記録した。

新型ウイルスの感染拡大をめぐっては、トランプ氏は当初、その重大性を軽視していたとして批判されてきた。記者から、政権の対応を10段階でどう評価するか問われると、「10と評価したい。(中略)我々はすばらしい仕事をしてきたと思う」とトランプ氏は述べた。

国内の移動制限や夜間外出禁止令あるいは封鎖を実施する予定はないとしつつ、トランプ氏は、「求めに応じて、我々は特定の地域や特定のホットスポットについて検討するかもしれない」とした。

また、カナダ国境の封鎖についても決定してはいないが、検討はしていると明かした。

ホワイトハウスは、窮地に陥っている米航空業界への財政支援策に取り組んでいる。トランプ氏は、経営難は「米航空業界のせいではない」のだから、支援するのは正しいことだと述べた。

大手航空会社の業界団体は、航空部門が生き残るためには500億ドル(約5兆3350億円)以上もの援助が必要だとしている。

各州の対応は

少なくとも40州で非常事態が宣言されているほか、29州が学校を閉鎖している。

国内で数百万人がすでに在宅勤務をしており、ニューヨークのタイムズスクエアを含む各地の繁華街から、劇的に人の姿が減っている。

カリフォルニア州サンフランシスコのベイエリア当局は16日、全面的な屋内退避命令を出した。700万人近い住民に影響を及ぼすこととなる。

サンフランシスコは、17日午前0時から3週間にわたり、独自に封鎖措置を講じる。同市は、食料品や医薬品の購入などの基本的ニーズを満たす場合を除く、住民の外出を法的に禁止する方針。

ニューヨーク州とニュージャージー州、コネチカット州は、3州合同の封鎖措置を発表。16日夜からバーやレストラン、映画館、カジノ、体育館を封鎖するというもので、「必要な限り」続けるとしている。

ペンシルヴェニア州、首都ワシントン、オハイオ州、カリフォルニア州、イリノイ州、ミシガン州、マサチューセッツ州、ワシントン州もまた、バーやレストランの利用を避けるよう住民に求めている。

米最高裁は1世紀以上ぶりに口頭弁論を延期した。

ケンタッキー州では、新型ウイルスに感染した男性(53)が隔離措置を拒否し、警察の監視下に置かれた。地方裁判官はこの男性に強制的に「自主隔離」させるため、非常事態を宣言した。男性の名前は明かされていない。

テキサス州では、ウイルス検査で陽性反応だったと先週末にソーシャルメディアに投稿した人物が、「虚偽の報告」をしたとして訴追された。

CNNによると、トランプ氏がフロリダ州に所有するリゾート「マール・ア・ラーゴ」は、ゴルフクラブを訪れた数人が新型ウイルス検査で陽性反応だったことを受け、入念な洗浄を行うために閉鎖されている。

予備選への影響は

新型ウイルスのアウトブレイクは、米大統領選の予備選にも混乱を及ぼしている。今年11月の本選で誰がトランプ大統領と争うのかを決める、民主党の候補者選びはジョー・バイデン前副大統領(77)とバーニー・サンダース上院議員(78、ヴァーモント州選出)の一騎打ちとなっている。

アリゾナ州、イリノイ州、大票田のフロリダ州やオハイオ州では17日に予備選を行う予定。しかし、オハイオ州知事は6月に延期するよう勧告した。残り3州は予定通り行う方針という。

ジョージア州、ルイジアナ州、ケンタッキー州はすでに延期を表明。ワイオミング州は投票所での投票を停止している。


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(英語記事 Trump says coronavirus crisis may last all summer