ただし、共産党の名誉のために言えば、天安門事件30周年の昨年、『しんぶん赤旗』は新聞の「社説」にあたる「主張」で、事件を振り返った批判を20年ぶりに掲載した。また、中国を「社会主義をめざす国」とする綱領の規定を削除する改定案を今年1月の党大会で採択している。

 話は戻るが、党を退職した私は、それでもコミュニストであり続けている。それはなぜなのか。

 そこにあるのが、今回のテーマの共通した題材である共産主義「体制」へのノスタルジーと言えるだろうか。ノスタルジーという言葉の響きがもつ「懐かしさ」とは無縁で、日本語で表現すると「渇望」が近いけれども、共産主義体制が切実に必要性とされていることへの思いである。

 共産主義が崩壊し、一人勝ちした資本主義の現状をどう評価すべきか。このままの日本が続けば幸せになれると、どれほどの人が感じているのだろう。

 現在の日本は、少し古い言葉を使えば、「負け組」には将来への不安が募るだけの世の中である。正規雇用に就けず、永遠に「負け組」から抜け出せないと言われる40歳前後の「ロスジェネ世代」を再雇用する試みが話題になっているが、その世代が世に出た2000年頃、25%程度だった非正規雇用は、いまや4割程度にも上昇している。

 ロスジェネ問題はなくなったのではなく、より普遍的な広がりを持つようになったのである。正規雇用者になれたところで、やれブラック企業だの過労死だの、押し潰されるような暮らしを余儀なくされている者が少なくない。

 その一方で、企業の内部留保は400兆円を超え、この10年で3倍以上になっている。2018年1月、国際非政府組織(NGO)オックスファムが公表した報告書も話題をさらった。世界で1年間に生み出された富(保有資産の増加分)のうち82%を上位1%の富裕層が独占していること、下から半分(37億人)の貧困層は財産が増えなかったとするものだった。

 翌年には、世界で最も裕福な26人が、世界人口のうち所得の低い半数に当たる38億人の総資産と同額の富を握っているとの報告書を発表した。「負け組」の犠牲で「勝ち組」が肥え太っていく。「勝ち組」には笑いの止まらない世界が広がっているわけだ。

 それなのに、肥え太っていく企業や富裕層に対して厳しく向き合い、自分の利益だけでなく、社会全体のことを考えて行動せよと迫る仕組みがない。それが世界規模で顕著に表れているのが気候変動問題だ。
日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」
日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」
 科学の見地では、二酸化炭素の排出量を激減させなければ、地球の未来さえ危ないことは明白だ。それでも、資本主義の中核に存在する巨大企業は、いまだに石炭火力発電に頼り(日本は増加させつつある)、科学よりも目の前の自己の利益を優先させ、世界を次第に破滅的危機へと導いているのである。

 「わが亡き後に洪水よ来たれ」─。マルクスはフランス王ルイ15世の愛人であったポンパドゥール侯爵夫人のものとされるこの言葉を『資本論』で引用し、資本の醜い本性を暴いた。ルイ15世の治世から250年たっても、資本の本性は変わらないままなのだ。